28歳を迎えたアーティストiri、
宇宙へ思いを馳せた新作アルバム『neon』をひっさげ間もなく全国ツアー開始!
NYLON世代が今最も注目するアーティストの一人、iri。唯一無二の歌声と存在感を放つ彼女へのラブコールは、
音楽のみならずファッションシーンからも多く、本日より順次公開されるブランド「Cole Haan」による
国際女性史月間キャンペーンを彩る“Move Makers”の日本人モデルにも起用された。
今回NYLON.JPではそんなiriに、4/27のアコースティックライヴと5月からの全国ツアーを控えたインタビューを決行。
一人一人が世界規模で同じ共通項を考えることが増えた今、iriが5thアルバム『neon』に込めたメッセージとは。
NYLON’sピックアップ曲と共に、28歳のバースデー前日に行ったiriのインタビューをお届け!
―まずは、最近のiriをアップデートさせていただきましょう! 最近ハマってることはありますか?
いろんなことをやってはみるんですけど、わたしがハマることってめずらしいんですよね……。なかなかこう一人で始めようってならないんですけど、ものづくりとかやってみたいことはあります。ちょっと前だったら、陶芸の作品作りとかをやりたかったなぁ。それこそ、今回のアルバム『neon』ではニットの衣装を作ってもらったんですけど、 自分でも編み物をしてみたいなっていうのはありますね。もともとニットの洋服が好きなので、これを機に何か作ってみたいなって思ってます。
―最近のリラックス方法は何ですか?
なんだろう……ちょうど昨日久しぶりにサウナに行きました。 サウナに入って寝て、寒くなったらまたサウナに入って寝て、みたいな(笑)。
―サウナ流行ってますよね。入り方にこだわりはあったりしますか?
サウナに入ったあとに外気には当たれるんですけど、水風呂とか水をバーンッてかけるみたいなのはやらないです。心臓に悪いんで(笑)。
―最近よく聴いてるアーティストやおすすめを教えてください。
フランス語の曲がすごく好きで、フランスのHIPHOPとか、スペイン語で歌ってる女性シンガーとかは結構気分かな。今まではアメリカやUKのHIPHOPが好きだったけど、最近はヨーロッパのラテン系のラッパーやシンガーを聴くことが多いです。
―世の中では今まさにいろんなことが巻き起こっていますが、そんな日々を過ごす中でも最近感じた“小さな幸せ”を教えてください。
“小さな幸せ”かぁ、なんだろうな〜。 本当にシュールなことしかないから、みんなのiriのイメージと違ってくるかも(笑)。最近、下の階に住んでるおばあちゃんが鍵をいつも忘れて行くんですよ。それでいつも開けてあげるんですけど、そのお礼にアイスクリームと漬物を持ってきてくれたことかな(笑)。あとは、植物が好きなので、育てている木があるんですけど、それから黄色いお花がいっぱい咲いてて今ちょうど満開で春来たんだなって思いました。
そんな春先に届けてくれた、最新アルバム『neon』について
お聞きしていきたいと思います。
―はじめに、先ほどもニット好きとおっしゃっていましたが、目を引くファッションスタイルをまとったアルバムジャケットについて。オーダーメイドの衣装とのことですが、どんなこだわりが?
まず既製の服を着たくなかったっていうのがありました。ヘアスタイルも、毎回ジャケットのイメージやMVに合わせて、ヘアスタイルを決めていたんですが、今回はそういうのを全く無くすように、「ヘアももう全部フードでおおっちゃえ!」みたいな感じだったんです。
―このニットは海外でのオーダーメイドですか? そして、手にしているのは、ぬいぐるみ……私物?
日本人のニットの作家さんに作ってもらったんです。ぬいぐるみも好きなので今回持つことにしたんですけど、このぬいぐるみは自分のではなくて、鈴木真海子(チェルミコ)から撮影用に借りてきました(笑)。
―気になっている方も多かったと思うので、聞けてよかったです。かわいい! 今回のアルバムはコロナ禍の影響がある中での制作だったと思うのですが、改めて仕上がりについてはいかがですか?
今回のアルバムは、本当に今のiriのナチュラルな状態を作品にした感じです。あんまりこう狙ってというか、決め込んでつくった感じの作品ではなかったので、自分の内的な部分がリアルに表現された一枚になったと思っています。なので、みんなにも聴いてもらうと今のiriってこういうモードなんだなっていうのが、よくわかってもらえる一枚なのかなと思います。
―アルバム1枚を通して、光と影をそれぞれ感じる部分が聴き手によってあると思うのですが、ご自身ではHIGHとLOWで言うとどっちの自分が多く出ていると思いますか?
最初はLOWな自分からHIGHまで、ゆっくりと光が差すような感じの一枚に仕上がっていると思います。
ここでは新作アルバム『neon』から
NYLON読者に向けていくつか曲をピックアップさせていただきました。
track 04 『摩天楼』 |
―まずは、『摩天楼』。テンションや飛ばしたファッションにヘアメイク、ジェンダーニュートラルな世界観はNYLONに通ずるものを感じました。ある意味少し狂気的な一面を持ったiriも映されていてインパクトがありました。あの世界観にはどういう思いで臨んだのでしょうか?
私が感情的になって、自由に暴れてるみたいなMVにしたかったんです(笑)。小綺麗でおしゃれでとかじゃなくて、感情も露わにしつつ、今まで見せてない一面を見せたかったっていうのがあって。撮ってもらう上で監督さんに最初にイメージを共有しつつも、動きや表情を全部自分で自由に動いたりして曲のイメージに合わせて撮影しました。
―夜のハイウェイを滑走するドライブシーンも印象的でかっこよかったです! そんなシーンを含む『摩天楼』のMVで見せた雰囲気のiriは、普段の自分に通ずる部分もありますか? わたしのライヴに来てくれている方は知ってくれていると思うんですが、もともとの性格的にも、おしとやかな女子というよりかは、性別関係なくジェンダーレスな表現を普段からしている方だと思います。それこそ、子供の頃から女性とか男性だからっていうところは特に意識せずに生きてきたので、今回のミュージックビデオは特にそういうところがしっかり出たのかなって感じはしています。
track 05 『目覚め』 |
―たしかに、iriのそういったジェンダーレスな一面に出会えたと感じる方も多かったと思います。次に、5曲目の『目覚め』は明るくてピースフルな感じがNYLON読者にも通ずる点かなと思いました。『Wonderland』や『rhythm』などに通ずる、iri流のチルな応援ソングにも聴こえるのですが、こちらにはどんな思いが?
今回『目覚め』までのアルバム前半は、結構コロナ禍のこと引っ張っていて、なかなか立ち直れないみたいな自分の心境を書いていたんです。そこから『目覚め』っていう曲をきっかけに、少しずつ現実だったりに、前向きな光が差していくような一枚になっています。だから、新しいことにチャレンジしたり、小さいことでも始めてみたり、日常生活を前向きに送ってみることを歌っていて。ある意味、リハビリみたいな、自分の中ではそんな曲になったかな。
―今まさに世界規模で落ち込むことがあっても、励まされるというか前向きな気持ちにしてくれる1曲だと思いました。逆にご自身はどんなことに元気をもらうことが多いですか?
今回のアルバムでも歌ってるように、ファンの方や家族、友達だったりですかね。そういう周りの人たちからはエネルギーをたくさんもらっています。
track 08 『雨の匂い』 |
―次にiriファンの中でも人気の高いラブソングに、新たに登場した8曲目の『雨の匂い』。ノスタルジックでエモさに引き込まれる楽曲が多い中で、雨の曲をつくろうと思ったキッカケは何かありましたか?
作ろうって取り掛かった日がちょうど雨が降っている日で、自分の曲に雨の曲とかないなぁ〜と。普段歌うアコースティックサウンドのラブソングや、『摩天楼』みたいな踊れる曲だったりはリリースしてきたんですけど、季節だったり、雨だったりとかをもとにつくった曲がなかったので、ゆったり聴きたくなるような雨の曲を作りました。
―「雨」というワードは切ない恋愛のメタファーになっている曲が多いですよね。雨の日にまつわるエモい瞬間がiriちゃんにも何かあったのかな? と思いました。
この『雨の匂い』もラブソングではあるんですけど、「雨」って言ってもこの曲はすごく暗いラブソングというよりかは、雨の日にぼーっとする感じを表現したいなと思って作ったんですよ。雨の日って、なぜかやっぱり不思議な気持ちになるんで、その感情を表現したちょっと不思議な曲になったらいいなと。
―たしかにサウンドのディテールも聴いていて不思議な気持ちになります。ちなみに好きな「雨」ソングはありますか?
うーん、なんだろうな……、雨の日は結構インストの曲を聴くことが多いかな。雨の日に悲しい曲聴くとやっぱりすごく下がっちゃうから(笑)。
track 11 『baton』 |
―11曲目『baton』も、iriには欠かせないエモーショナルさと心地の良さを感じるメロディーでたくさんの人に聴いてもらいたい一曲です。この曲は家族をテーマに書かれたとお聞きしました。
両親とはずっと仲良いんですよね。両親へ書いた曲なんですが、でもまぁ最初はそんなに「親に書くぞ!」っていうわけではなかったんです。だけど、作っていくうちに親のことを思って、考えていたら、昔のことをいろいろ思い出して歌詞が浮かんできたって感じです。
―早速ご両親も聴かれたんでしょうか? どんな反応でしたか?
はい、聴いてもらいました。父親は泣いちゃうって言って聴いてました(笑)。
―そりゃあ絶対泣いちゃいますよ! ご本人が泣く前に会場中が泣いちゃいそう(笑)。
ライヴで歌うのも聴いてもらうのも楽しみです。泣いちゃわないようにちょっと気をつける!(笑)。
―今回のアルバムはそんなご家族への愛のある曲も含みますが、宇宙のことを考えて制作をしたとお聞きしてちょっと驚きました。この情勢において世界のことだけでなく、地球を超えて宇宙まで思いを馳せたのは何がそうさせたのでしょう?
『はじまりの日』とかEPを創ってた時が、たぶんコロナ禍になってから、ちょうど自分の中ではピークだったんですよね。コロナで亡くなった方もたくさんいましたし、周りの人もそうだし、芸能人の方もそうでしたけど、命について改めて深く考えたというか。死生観みたいなところだったりを考え始めたら、結構止まらなくなっちゃって……。
track 12 『The game』 |
―そういった意味で宇宙だったり、広い世界観へと繋がっていったんですね。前半4曲には繋がったストーリーがあると聞いたのですが、アルバムの一番最後に入っている『The game』も前半に通ずる、星のストーリーを引き継いでいる感じがしました。何か繋がりは意識されていますか?
たしかに宇宙で言うと、自分の中では前半の宇宙は結構暗い宇宙にいて、一番最後は宇宙の中でもキラキとした希望がちゃんとある、次へと繋がる曲ですかね。最後につくった曲っていうのもあるんですけど、何かちゃんと希望を持って次に進めるなっていう曲に仕上がったと思います。
―現代に寄り添ったダイバーシティな捉え方だったり、今だからこそ希望のある歌詞が自然に出てくるのかなって思ったんですが、音楽を通して同世代に今iriが伝えたいメッセージはどんなことでしょうか?
今回作っていて感じていたことは、今の状況に、みんななんとなく慣れているような感じがしつつ、でもやっぱりどこかしらで、人との距離感が生まれてしまっているのは間違いないと思っています。例えば、ライヴで声が出せないとかもそうだし、普通に日常生活を送って、電車に乗っててもそうだと思うんですが、人との距離が縮めづらいというか。距離を置くこと、ソーシャルディスタンス的なことを意識し合う中で、ちょっとぶつかり合ったりしただけでも、どこか孤独に感じる時が多くあると思います。些細なことでもデリケートになってしまうのは、自分もそうだし、やっぱり今までとは全然違う生活が続いてるから仕方ないことだと思うんです。でも、そんな日常にも、ちゃんとみんなには愛があるって言うのを忘れないでねっていうか。きっと本来そこはみんな変わってないはずだし、iriの音楽を通して、あったかい気持ちになってもらいたい。そうやって一人が、ちょっとでもあたたかい気持ちになることによって、一人でも周りに連鎖してくれたらいいなっていうのがあります。そういうところに結構想いがあって、それこそ特に最後の『The game』については、前半は闇から始まるんだけど、徐々に人との繋がりだったりとか、あたたかさだったり、音楽の楽しさ、音楽を聴いてケアされていく部分っていうのを感じてもらえたらなと思っています。
―こういったテーマの曲は、今後iriの曲に増えていきそうでしょうか?
そうですね。ちょうど明日28歳になるんですけどこれから年を重ねていくうちに、考え方だったりとか、リスナーのみんなに対する気持ちもそれぞれ変わっていくと思うので、その時その時の“気づき”とかだったりを、歌にしてみたいなって思います。
―お誕生日おめでとうございます!! ちなみに、28歳はどんな年にしたいですか? 年を重ねることに対してはどう捉えているんでしょう?
どうなるんですかね……?(笑)
28歳は30歳に近づいてきて、やり残したことだったりとか、たぶん一番謎の焦りを感じる年齢だと思うんですけど。でもまた30歳になったら、たぶん「あっまた一から始まった!」みたいな気持ちになったりすると思うんで、それもすごく楽しみです。今じゃないとできないこともたくさんあると思うので、それを毎日毎日探して、見つけたらチャレンジするっていうのを少しずつやっていけたらいいな。まぁでも、楽しんで音楽をやって生きていくのが、一番だと思うのでそれをやりたいなと思っています。
―30歳ってやっぱり階段を登っている気もするけど。年齢なんか気にしてないんじゃないかとは思っていました!
いやいや〜意外と気にしてるんですよ〜(笑)。
―今年28歳になって初ライヴとして、まず4/27にアコースティックワンマンライブ『iri Presents “Acoustic ONEMAN SHOW”』が控えています。どんなライヴにしたいですか?
今まだ準備を始めてる段階ではあるんですけど、あんまりステージパフォーマンスを決めた感じでいくっていうよりは、みんな座りながらゆったり、うちに遊びに来てもらったみたいな(笑)。そんなノリでゆったりしながら、音楽をシェアできたらなって思っています。
―アコースティックならではのアットホームなライヴ、最高ですね! 5月15日からは全国ツアー『iri S/S Tour 2022 “neon”』がスタート。アルバム曲のライヴ初披露もありますが、最後に全国ツアーへの意気込みなどを教えてください。
アルバムからの新曲は9曲あるのでそれが楽しみなのと、さっき言った『baton』とかは、ツアーでもアコースティックでやりたいなぁとか思ってます。28歳になって初ツアーというのもあるので、また新たな気持ちでみんなと会いたいですね。今もまだフェスなどもあまりできなかったりして、なかなかみんなに会える機会が少ないので。あとは、やっぱりツアーにしかない、ツアーならではの空気感がすごくあると思うので、ライヴに来てもらったみんなにあったかい気持ちになってもらえたらいいなって思っています。
INFO.
5th album『neon』(通常盤)
¥3,300 by Colourful Records
LIVE INFO.
『iri Presents “Acoustic ONEMAN SHOW”』
4月27日(水)東京・LINE CUBE SHIBUYA
『iri S/S Tour 2022 “neon”』
5月15日(日)神奈川・KT Zepp YOKOHAMA
5月21日(土)愛知・Zepp NAGOYA
5月22日(日)大阪・Zepp OSAKA BAYSIDE
5月24日(火)福岡・Zepp FUKUOKA
5月29日(日)北海道・Zepp SAPPORO
6月04日(土)宮城・仙台 PIT
6月05日(日)東京・Zepp HANEDA
6月11日(土)沖縄・桜坂セントラル
TICKET: https://eplus.jp/iri/
WHITE:
sneakers¥26,400 by cole haan skirt¥19,800 by things that matter earrings¥23,000
bracelet¥33,000 ring on left¥18,000 all by bar jewellery/gem projector ring on right¥38,500
by fauvirame others stylist’s own
GREEN:
sneakers¥24,200 by cole haan coat¥50,600 pants¥33,000 by le ciel bleu shirts¥6,600
by gina tricot/sustainable k3 silver ring¥21,000 gold ring¥18,000 by bar jewellery/gem projector
STAFF
PHOTOGRAPHY: RYOHEI AMBO
STYLING: YOKO IRIE(SIGNO)
HAIR&MAKEUP: MIHOKO FUJIWARA (LUCK HAIR)
EDIT: SAYURI SEKINE
DESIGN: SHOKO FUJIMOTO
CORDING: JUN OKUZAWA