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山田裕貴ともうひとつの夜

私は、あなたが優しい人だって知っている。あと、夜が怖いということも。
だから、夜に呼び出されて何を言われても、ただ寄り添うの。
久々に電話が来たその日は、あなたはずいぶん上機嫌で。けれど、どこか悲しそうだった。
次いつ会えるかわからないから、今あなたと過ごす1分1秒が私の誇り。
次いつ会えるかわからないあなたと過ごす、誌面にはないアザーストーリーをお届け。

ーまずは今公演中の舞台について感触はどうでしょうか?(取材時は公演5日目)

良さそうです。パフォーマンスはいいし。

ーそれはどういったところから感じますか?

公演が終わったあとのお客さんの拍手だったりとか、観に来てくださる人から感想をいただいたりして。あとは稽古場の段階からいけるんじゃないかという感触がありました。そして実際にやってみたら、衣装もあって光も音もあるっていうなかなので、すごいいいと思います。

ーこの舞台で印象的なエピソードは?

とにかく稽古場が本当に、家でお芝居のことを考えてるんじゃないかってくらい優しい時間が流れていました。みんなで考えようという感じで、いい人達ばかりなので。そういう現場はなかなかないですね。

ー演技する時の自分流のルールなど、ありますか?

お芝居に見せないこと。本物になること。お芝居すると出す声も嘘の音になるし、嘘の動きになる。リアルをどこまで追求できるか? ということを常に意識しています。

ーそういう考え方はどこから来ていますか?

嘘が嫌いっていうのと、うわぁこの人芝居臭いなって思われる俳優になるのが嫌なんです。お芝居を始めた時から、本物の演技をするというんでしょうか。それはずっと思ってきました。

ー映画『嘘八百 京町ロワイヤル』では陶芸王子と言われてますね。

陶芸王子って言われて、うまく使われちゃう役んですよ。◯◯王子ってよくあるじゃないですか。ああいう感じで。陶芸家の役で、本当は陶芸を真面目にやりたいけど商業のために使われてしまってる、そういう子です。

ー錚々たる俳優陣のなかでお芝居をしてみてどうでしたか?

めちゃくちゃおもしろかったです。お芝居が素晴らしい先輩方達なので、おもしろいのは当たり前だと思ったけど、現場ではずっと笑ってました。

ーその現場で刺激的だったことと、学んだことはありますか?

俳優2、3年目くらいなら緊張していたかもしれないけど、だんだん緊張も少なくなり、楽しんでできました。役が京都弁だったので、それが難しかったというのはあります。

ー京都弁はどうやって習得を?

ひたすら聴きます。音のセリフをもらって。それで実際やってみてちょっと音が違うとか1回1回直してもらう。

ー久々のNYLONの撮影はどうでしたか?

簡単なこと言ってしまうんですけど、NYLONておしゃれじゃないですか。 ライティングとかカメラの感じとか、衣装、撮る場所とかも。こうやってモデルさんと撮るっていう撮影はNYLONさんだけですし楽しかったです。今日は阿部ジュリアさんに助けられました。今回のテーマは、映画っぽくていいですよね。

ー自分の恋愛経験が、お芝居や撮影の時に役立つことはあるもの?

あります。思うこと、初めて感じる感情。そういうものは恋愛でしか学べないこともあると思う。物事に対して浮き沈みしない人でも、恋愛においてはしちゃう人もいるじゃないですか。

ー恋愛で思ったことを実際に表現したことは?

いや、最近恋愛物はなかったので。もともと僕恋愛がうまくいかない役が多いので、大体うまくいかないんですよ。

ー将来的な結婚願望はあるんですか?

ありますよ。アイロンをかけてくれているとか、帰ったら味噌汁の匂いがするとか、家事はできてくれたほうがいいっすね。

ー家事以外に他に女性に求めるものは?

よく笑って楽しそうにしている人。人生が楽しくなりそうな人がいいですね。帰ってきてまた悩んでるみたいなのはいやじゃないですか? 帰っても家のなかが暗い……みたいな。

ー見た目は?

好きになったらそれでいい。もともと家庭的な人がいいので変わってないですね。飲みに行きたければ行っていい。浮気をしなければ(笑)。そして、会いたいとか会いたいけど会えないとか、ちゃんと言葉にできる人がいい。愛情表現が上手い人が。

ー連絡はマメにとるほうですか?

僕は会った時に話せばいいんじゃない? っていう感じですね。仕事の時に連絡が来ていても全然平気です。今何してるよって返せるタイプ。全然合わせられるけど、さすがに何してるの? どこいるの? とか、いちいち聞いてこられるのはきついですね。

ー今の目の前の写真送って、という女性がいたら?

もし相手がいたとして、現場の打ち上げで女の子もいる場所に行かなきゃならない場合もあるから、そういう時は全然写真を送りますね。その前に誰と行ってくるって言うし。その場に女性がいるだけで無理っていう人はダメかもです。

ー初恋についても聞いてみたいです。初恋は何歳ですか?

中2の時に好きになった人がいて、高1まで続きました。付き合ったと言っても一緒に帰るくらいだったんですが、“友達にしか思えない”と言われて、3週間で終わった。その子とは一緒に『世界の中心で、愛をさけぶ』を観に行ったりもしていて。まだ家に電話をする時代でした。その子のことを忘れようとして他の女の子を無理やり好きになろうとした時もあったんですけど、ずっと忘れられなくて。中学卒業の時、僕は第2ボタンだけ誰にもあげずに取っておいたんです。そしたら、少女漫画のお助けキャラ的女子が、“あんたあいつにあげたいんでしょ?“ ““““ああ、そうだよ”“““““って。その子は一瞬だけ僕のことが好きだった子だったんだけど、それでも伝えてくれた。それで、好きだった子に第2ボタンくださいって言われて、そこでまた付き合うことになった。そして、高1のクリスマスの2日前にフラれました。その時クリスマスプレゼントでピンキーリングを初めて買いに行って、でもあげられなかったので外に投げました。チュウとか自分からできなかったです。チキンだったので(笑)。誕生日プレゼント何がいい? て聞かれて、チュウがいいって答えてチュウしてもらった。それが俺の1番ファニーな初恋エピソード。

ー来年30歳を迎えますね。どんな男性になりたいですか?

ずっと言ってるんですけど、俳優としてしっかりすること。イケメン若手俳優とか、朝ドラ俳優とかじゃなく、俳優山田裕貴って、呼んでもらえる様にならないといけないと思ってます。そこが1番僕のなかの基本で、気にしとかないといけない部分。まずそこが俳優の第1ステージなんです。30歳までに俳優として何か固められてたらいいなっていうのは思います。

ーちゃんとした俳優の定義はありますか? どんな役を演じたら、とか?

んー、難しいな。決めるのは世間様だし、一緒にやっている共演者の方達、ファンの方、スタッフさん、皆さんが、山田裕貴は役者。山田裕貴は俳優。って言ってもらえるような人にならないといけない。ちゃんと人に認められるような人間になる。いい男であり、いい俳優であり、いい人間でなければと思います。

ー今後挑戦してみたい役はありますか?

毎回が挑戦だから、どの役も新しい。イメージにとらわれない人でいたい。全てに溶け込めるやつになってたい。イメージを固めていくほうが簡単だから、広げるっていう作業。広げても存在するっていうあり方ができたら、どこにでも居られる人になるんじゃないかなと思います。作品のなかの人も普通の人じゃないですか。だから普通でありたいとは思ってる。

ー最近好きなファッションは?

昔はファッションとか興味なかったんですけど、最近は美容師の友達やその友達のデザイナーさんにも選んでもらうようにしています。実際教えてもらったお店に連れて行ってもらって、おしゃれだなってのはわかるんですけど、どれ着たらいいのっていうのはあります(笑)。クローゼットは友達に見せてあるので何を買えばいいのか、友達が全部やってくれているんですよ。COMME des GARCONSやN.HOOLYWOODは最近知りましたし、Yohji Yamamotoは初めて買いました。僕は服より仲間が欲しいので。NYLONさんの現場に来れば、おしゃれな服を着させてもらえるから別にやらなくてもいいじゃないですか普段。

ー今日の服すごく似合うので、たくさんおしゃれしてほしいですね!

そう最近思ってます。かっこよくしていないと! と思って。でも逆にそれでもモテるほうがすごくないですか? 本当に中身が素敵なんだって思いません? それを僕は狙っているんです。全然風貌はかっこよくないのになんかモテるみたいな。ハートが素敵なんだって思いません? そっちのほうが大事だと思います。

ーNYLONは個性っていうワードを大切にしていて、夢を追いかけている人が多いんですけど、もし俳優さんを目指している方がいたら、なんてアドバイスを送りますか?

気を遣うのが優しいわけじゃない。自分を出すって、時にわがままに思えたりするけど、発信する側って自分を強く持っておかないといけないと思うし、自分はこうでありたい、こうしたいああしたいって言うのは強く持っていたほうがいいと思います。僕はもともと、人に合わせて生きてきたタイプだったから。それで遠回りしている感じがあって。それが作品の数だけ増えていって、何を自分は残せたっけってことを思ったこともあったし。ファンの方に応援してもらってる以上、俺のことをわからないまま応援してもらうのは嫌なので、ちゃんとやりたいことを言っていこうと思いました。今の時代そういう部分を、若くしてから持っていてもいいんじゃないのかなと思います。

ー自分のことを話していくことで、変わったなと思うことはありますか?

明確にやりたいことを支えてもらえるようになったことかな。自分の好きなことをめちゃくちゃ探しました。でも4、5年目では、まだ自分のやりたいこと、やりたい役が実現できない。やりたいっていう想いだけじゃ実現しなかったりするので。じゃあ10年頑張ろうと思った。10年目までに頑張ろうって。そこまでに、協力してくれる人や、一緒にやりたいって言ってくれる俳優仲間を増やさないと思っていて。今は9年目。

ーでは20歳の時にそう思ったってことですか?

そうです。もちろんお芝居が上手くなるのが1番目指しているところなので、突き詰めて研究することを日々考えていて。上手い・下手くそよりも、まず先に人に好かれないと意味ないな思いました。10年経った時にいっぱい仲間がいるようにしようと思って、いろんな人と壁を作らずに、芸人さんでもどんな人でも仲良くなりました。例えば立ち飲み屋にふらっと入って、応援したくなったって言われただけで1人仲間が増えたことになる。もう日々それ。RPGじゃないけど。歩いて仲間を増やすみたいな感覚。それを10年続けていたら、きっといろんな人が助けてくれるだろうし、僕が道に迷いそうになったら、それお前違うんじゃないの? って言ってくれる人もいるだろうし。そういうふうにやってきたら自然とステージが上がってたというか。

ー30歳でまた新たな目標とか考えてますか?

40歳までにはどうしようかなとか思うと思います。自分の幸せはお芝居を見てもらうことなので、今は満たされています。30歳以降は行ったことのない場所に旅行に行くとかはしたいなと思います。旅行で海外には行ったことなくて、修学旅行だけです。ちょっと韓国行ってきた、とか僕もそれやりたいです。沖縄にも行ったことないです。僕が唯一1人で行くのは、京都です。神社、仏閣が好きなので。

ー京都で必ず行く場所は?

鞍馬寺と貴船神社ですね。天狗が出る場所。毎年夜中にお祭りみたいな儀式があるんですよ。。

ー天狗とか、そういうのは信じるタイプですか?

信じるというか、小さい頃は霊が見えていたので、信じざるをえなかったです。怖いなって思って振り返ったら、青白いものが浮かんでたりとかもある。
僕が野球をやっていた時にとあるお宅に泊まらせてもらった時にすごい変な感じがしてそこに神棚みたなのが置いてあって。なんか変なことばかり起きていたんですよ、猫がずっとついてくるとか。夜中起きたらあり得ないところでその猫がおしっこをしていて、そのおしっこ踏んじゃったり。猫って霊とか見えるっていうじゃないですか。あとは白い着物をきた人がすうって通ったりとか。

ーそんな経験もあったとは! ありがとうございます。最後に、NYLONの15周年のテーマが「NEW POWER NO BORDER」(年齢、性別、国籍をボーダーレスにして新しいNEW POWERを作り出す)なんです。山田さんのなかに共通するものはありますか?

普段それずっと思ってます。本当によく言ってます。男も女も関係ないって。僕結構、宇宙規模で物事を考えているんです。だって、宇宙から見たら地球は1つじゃないですか。だから僕ボーダーがあることがすごく悲しい。年齢で分けたり、男女で分けたり、人間だからとか。だって、海の微生物から僕らは始まっているんですから。みんな1つですよ絶対。普段からこういうことばっかり考えてます。自分の志です。そういう境界線が全てにおいてなくなったらいいなと思う。大人の事情とか色々あるじゃないですか。そういうのが無くなったら、もっと楽しくなるのに。芸術においては、そういうのは作っちゃいけないと思いますね。

LOOK1
yuki: top¥18,000 pants¥38,000 by masu shoes stylist’s own
julia: dress¥38,000 by semoh shoes stylist’s own

LOOK2
yuki: jacket¥98,000 by masu shirt¥33,000 by littlebig pants¥31,000 by semoh shoes¥6,900 by new balance
julia: dress¥32,000by tiit tokyo/the pr shoes¥104,000 by max&co,

LOOK3
yuki: coat¥31,000 by s’yte/yohji yamamoto shirt¥11,800 pants¥17,800 by maison special t-shirt¥26,000 by discovered shoes stylist’s own
julia: top¥86,000 skirt¥158,000 by peter do/adelaide tights¥28,000 by thibaut/the pr shoes stylist’s own

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※応募期間 2019年12月13日~2020年1月7日

山田裕貴/Yuki Yamada

@00_yuki_y
1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年『海賊戦隊ゴーカイジャー』 で俳優デビュー。
その後、数々の映画やドラマに出演し、幅広い役柄をモノにする実力派俳優に。
主な出演作は2017年『あゝ、荒野』2018 年『万引き家族』主演映画『あの頃、君を 追いかけた』『HiGH&LOW』シリーズ、 2019年連続テレビ小説『なつぞら』など。

阿部ジュリア/Julia Abe

@juliasumire
1996年3月11日生まれ。身長168cmのブラジルと日本のハーフモデル。
持ち前のクールさを武器に弊誌NYLON JAPANをはじめ、国内外の雑誌やブ ランドのカタログに出演する他、個展を開催するなどアーティストとしても活躍。
5カ国語をマスターするペンタリンガル。

BOY’S INFORMATION.
山田裕貴の出演待機作として、2020年1月5日からMBS/TBSドラマイズム『SEDAI WARS』、1月23日からはドラマ特区『ホームルーム』と、異例の同時期主演2作品がスタート。
2020年1月31日には映画『嘘八百 京町ロワイヤル』が公開。

STAFF
MODEL: YUKI YAMADA
(WATANABE ENTERTAINMENT),
JULIA ABE(IMAGE)
PHOTOGRAPHY: KENTO MORI
STYLING: HIDEYUKI KANEMITSU
HAIR: KEI TAKANO
MAKEUP: SHINO ARIIZUMI(Y’S C)
EDIT: SHOKO YAMAMOTO
DESIGN: MIZUKI AMANO
CODING: JUN OKUZAWA