応援される人であるということが大切
挑戦し続ける人を応援したくなる
-実際に行っている事業について、どんなこと行っているのか具体的に教えてください。
大きく分けて3つご説明します。まず1つ目は2年前に立ち上げたスキンケアブランド youange(ユアンジェ)です。これは製作過程から販売まで全てに携わっており、現在はECのみでの販売ですが、今後は定期販売が始まる予定です。2つ目は、力を入れている生配信者の育成ですね。SHOWROOM、17(イチナナ)、LINELIVEなど、生配信をきっかけに夢を実現したい人達へ配信のサポートやイベントの運営を行なっております。3つ目は旅×LIVEをテーマに、インフルエンサーが旅先から生配信を行うTaVision(タビジョン)というサービスです。
-仕事をしているなかで感じるご自身の強みと弱みは何ですか?
人を巻き込む力は上手いと思っています。周りの人達と一緒になって何かを作るとか。先月開催した誕生日イベントもファンの方々と作り上げました。自分1人ではなく周囲の人達をどんどん巻き込んで一緒になって何かを作り上げることは得意。弱みはあまりないかなと思いますが、集中力が散漫になりがちなので、スケジュール管理とかそういった作業は苦手です(笑)。でも会社には私以外のメンバーがたくさんいるので、お互いできない部分を補いながら進めています。いろんな人達とサポートし合って成り立っているのでこれといった決定的な弱みはないかもしれません。
-仕事をする上でモットーにしているものはありますか?
応援される人であるということは大切だと思っています。インフルエンサーとしても事業家としても応援されることに意味があるので、自分が第3者だったら応援したいと思えるかということを常に考えています。そう考えると常に同じ仕事を続けたり、成功し続けるというのはあまり面白くないなって。成功している時こそ、失敗するかもしれないリスクを抱えながら挑戦してみてギャンブルのような成功の仕方をするとか、時には思いっきり失敗してしまってまた応援されて頑張るみたいな、そういう挑戦し続ける人を応援したくなるじゃないですか。なので、どうやったら私のことを応援してくれるのかということをずっと考えていますし、仕事をする上でいちばん大事だと思っています。
-事業家、インフルエンサー、YouTuberなど様々な肩書きがあると思いますが、それぞれに求められる相違点を感じることはありますか?
そんなにないです。事業家であれ、インフルエンサーであれ、どちらも対人で行う仕事なので、支持してくれる人達に夢を語ることが求められることだと思っています。強いていうならインフルエンサーとして求められている時は、可愛く写っているかな? ということくらい(笑)。
-これまでにターニングポイントはありましたか?
ターニングポイントは2つあって、まず1つ目は先ほども少しお話ししたお客さんが3人しか来なかったイベントの後。今から3年前の誕生日イベントの時ですね。このイベントの1ヶ月後にInstagramを開設して、その半年後にイベントを行ったら170枚のチケットが即完したんです。お客さんの数が3人から170人に増えたということもすごいことですし、当日男女比が半々だったことも驚きでした。そこで女の子からの人気も感じ始めているし、短期間でこれだけ集客できるのであれば、将来的に今まで男性向けだった矛先を女の子にも向けられるんじゃないかって気づいたんです。2つ目はYouTubeを始めて3カ月くらい経った時。自分の好きなことができて、スタイルブックも出版できて、自分の好きなことをお仕事にできるようになってきた時に、毎日同じ仕事をこなしている感じがすごくあって、ただインフルエンサーでいるだけではもったいないし、旬っていうのはいつか廃れてしまうし、将来のことを考えられていない危機感を感じたんです。そのタイミングで、スキンケアブランドをはじめ、TaVisionや会社の所属タレントのオーディションの開催など、私が生み出す事業を成功させることにピボットした方がいいなと感じた時です。
-そう思った具体的な理由やその先に見据えているヴィジョンなどは?
私のファンの方にはもちろん、顔が可愛い、コスメが好きという理由で支持してくれている人もいると思いますが、アイドル、ニート、起業と波のある人生を送っていて、1つ目のターニングポイントであるSNSを通じて夢を叶えられたので、私の生き様を支持してくれている方々がすごく多いんです。開催しているイベントにも、タレントやアイドルを目指していますという人がたくさん来るんですよね。なので、次は私の成功だけではなくて、周りの人達やファンの方々、ゆうこすみたいになりたいと思ってくれている人達を応援できたらいいなと思ったのがマネージメントを始めようと思った理由ですね。ブランドを始めたのは、私がインフルエンサーになった時、マネタイズがPR案件しかなかったので、自分でブランドを立ち上げて挑戦しようと思ったのがきっかけです。
-その先を見据えて物事を捉えられていたからこそ、ここまで続けられたのだろうと思いました。
そうですね。今でこそインフルエンサーといえばインスタグラマーみたいなイメージがあると思いますが、当時はまだインフルエンサーという定義も曖昧でしたので、そういう時代背景も相まって良かったかなとは思います。
-今までいろいろ経験や経歴をお持ちだと思いますが、そのなかで苦悩や失敗っていうのはありましたか?
あまりないですね……。強いていうなら、元アイドルやミスiD準グランプリなど華々しい肩書きはありましたし、認知度は0ではないと思っていました。でも、あのイベントの時に認知度と人気度はイコールではないと初めて気づかされました。周りからは「あの子は認知度が高くてすごい」と思われているのに、イベントを開催しても3人しか来なかったので、期待と現実の狭間にいる時は、期待されるということに苦悩を感じました。でもこの時のエピソードって将来的にめちゃくちゃ面白くなるだろうなと思ったんです。実際今こういった取材やイベントなどの講演で語る際に、失敗談や失敗経験ってすごく反応が良かったりするんですよ。こういった経験がないと話しても面白くないと思いますし、当時は失敗して後悔していたとしても、今となってはその失敗に後悔はしていません。
-物事をポジティヴに考えているというか、あまり失敗に引きずられないようにしているんですか?
いえ、失敗した時はすごく引きずりますし、辛いって思います。でも1回それを置いておいて、その失敗は辛さだけで終わるのは勿体ないので、どうするべきなのか、どう改善していくべきなのかと考えると、菅本裕子という人間がすごく成長しますし、その時は失敗でしたが後に成功するということがあるじゃないですか。そういうことがあるから後悔していることはないなと思います。
-最近印象に残っているお仕事は?
今会社で生配信者を育成していて現在300名ほどいるのですが、その子達のイベントを開催したんですよ。いつもPC越しでサポートしているのですが、育成している子達を目の前にして夢を叶えたい人達をサポート、応援したいという気持ちが膨らみました。もともと趣味で行っていた生配信の視聴者がどんどん増えていって、私みたいになりたいと思ってくれる人が増えて。でもここまでってただのプライベートだと思うんです。じゃあ、そういう人達をマネージメントするために会社を立ち上げるとなれば、これって私からすると趣味の延長線なんですよね。趣味の延長線上で女の子達をサポートできるようになったのは、自分のなかでもすごく楽しい仕事だと思いました。
-自分を広告塔にして仕事をすることが多いと思いますが、一会社員として働く像を思い浮かべたことはありますか?
いや、そういうことを考えたことは全くないですけど、今実際に裏方としての仕事もこなしているので、結果的になってるかなとは思います。自分が表に立つための裏の仕事ですし、裏の仕事をするための表の仕事なのでどっちにもやりがいはあります。
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Yuko Sugamoto/菅本裕子 1994年5月20日生まれ、福岡県出身。「モテるために生きてる!」と言い張る、通称「モテタレント」ゆうこすこと菅本裕子。元アイドルという経歴を持ちながら、そのモテるための貪欲な自己プロデュース能力の高さがSNSを中心に話題になり再デビュー。全国的に開催しているイベント「ゆうこすモテ教室」は常にチケットが入手困難になっている。また、YouTubeチャンネル「ゆうこすモテちゃんねる」も話題沸騰中。 Instagram :@yukos0520 |
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