コーヒーは生活のなかの喜びになるもの
人を喜ばせた人は自分も幸せになる
-The Rising Sun Coffeeのコンセプトについて、教えてください。
“コーヒー&サーフィン”がコンセプトです。The Rising Sun Coffeeという名前の由来は、 LAND of RISING SUN かな。メイドインジャパンを意識したかったのと、九十九里ってご来光が有名なんです。俺達はその朝日を見ながらいつもサーフィンしているし、正月にはたくさんの人が初日の出を見にくる。だから、RISING SUNに決めたんです。
-九十九里という土地に根ざしているのは、サードウェーブの思想と共通していますね。
そうですね。九十九里ではイワシがよく獲れて、それを天日干しにするからイワシの匂いがけっこうして、風向きが変わると今度はきな粉工場から焦げた匂いがして。焙煎所があったらコーヒーの香ばしい香りが出て、少しは喜んでくれる人もいるのかなって。もちろん、みんなが好きではないのかもしれないけど。海風があれば焙煎の煙も流れていくし。あと、プロサーファーの働き方の選択肢が増えたらいいとも思っています。みんなサーフショップで働きながらサーフィンをやるんだけど、コーヒーの焙煎士って道もあると思うんです。波が良い時はサーフィンをやって、悪い時は焙煎する。そういうリズムでできる仕事だから。子どもが大きくなったら、九十九里でカフェをやることがひとつのゴール。実は九十九里に住んで10年ぐらいになるんだけど、自分を育ててくれた海への恩返しにもなるのかなって。
-なるほど。いろんな思いがこもっている、と。
ただ、お店を運営する思想は、「小さく産んで大きく育てる」ということだけかな。若い頃は、目の前に椅子が出されたらすぐに飛びつけって思いでやってたけど、俺はそういうのが苦手なので。すごく悩んでいた時に先輩から言われたのが、“人生は椅子取りゲームだけど、自分に似合った椅子が来た時に取りに行くんだ”ってこと。ちゃんと準備していればお前に似合った椅子が自分に回ってくるよって。
-きっとこの号を読んでくれている人も励まされると思います。読者へのメッセージをお願いします。
あまり偉そうなことを言いたくはないんだけど、人を喜ばせた人が最後は自分も幸せになるってことかも。喜ばせたもん勝ちなんですよ、人生って。コーヒーは生活のなかの喜びになるもの。朝目が覚めて、コーヒーをガリガリ挽いている音と匂いがするのって、本当に幸せだと思います。お店にもたまに立ちますが、近所のおばあちゃんが500円玉をちゃりんって出して「いつもの」って買ってくれるのも、本当にうれしくて。そうやって誰かのことを思いながら俺もコーヒーに向き合っているんですよ。
坂口憲二 The Rising Sun Coffee 代表兼ロースター。1975年11月8日生まれ、東京都出身。A型。1999年より、ファッション誌『MEN’S CLUB』のレギュラーモデルを務める。同年10月に、テレビ朝日系ドラマ『ベストフレンド』でドラマデビュー。以降、俳優業を中心に活動。父は格闘家の坂口征二。2018年3月、特発性大腿骨頭壊死症の治療に専念するため、芸能活動の無期限休止を発表。2019年、The Rising Sun Coffeeを立ち上げ、代表兼ロースターとして活動をはじめる。 Instagram :@therisingsuncoffee |
ILLUSTRATION: RYOGA OKAMOTO
INTERVIEW: TAIYO NAGASHIMA
EDIT: KAHO FUKUDA
WEB DESIGN: AZUSA TSUBOTA
CODING: NATSUKI DOZAKI