昼職はキャバクラ嬢のノリは通じない
まずは人の意見を聞き入れることから
-キャバクラで稼げる人は、昼職でも活躍できると通ずるものがあると感じますか?
そこは結構難しくて、キャバクラで売れる売れない関係なしに、夜の仕事から昼の仕事で成功するというのは本当に難しいです。やはり感覚が全然違うんです。金銭感覚もそうですし、人との感覚もそう。キャバクラで成功したからといって違う世界でも通用するかといったらそれは全くの別物で。キャバクラで全然売れなくても一般職で成功したり、どちらも鳴かず飛ばずの子もいる。でも、夜で売れるのは結構簡単で、元気で明るくて毎日出勤できる子。これができたら売れるんですけど、案外難しいんです。1ヶ月続けて、半年続けて、1年続けてとなるとどこまで続けられるかなと思います。
-では、昼職と夜職にギャップを感じましたか?
確かにそれは全然違います。キャバクラはその場のノリで話しても許される世界で会話の内容とかは何でもいいんです。でも、この感じで昼職の人と話してしまうとびっくりさせちゃうんですよ(笑)。キャバクラだったら「これヤダー!」とか「何これ、変〜!」ってストレートに伝えても笑ってもらえましたが、同じように昼職で話していたら私の会社の人達が毎週のように辞めていってしまうことがあって、この話し方はダメなんだとそこで気付きましたが、気付いてから直すのが結構大変で……。最初はこのスタイルが自分だし、この自分があってこそキャバクラで売れたんだから理解してほしいと言い訳をしていたんですが、もう自分が変わるしかないなと思って。
-自分を変えるために意識したことは?
変えようと思っても今までの性格をガラッと変えることはできないので、「可愛くない」、「ありえない」って思ってもとりあえず何も言わないことをまずは徹底しました。ものの言い方や相手への話し方を変えるというのはその次で、まずは黙っていた方がマシだと思っていました(笑)。そうするとある程度いいようにことが進んでいったり、相手から意見を話してくれるようになったんです。癖で瞬発的に思ったことをそのまま言ってしまうということがいちばんの問題点だったので、もちろん自分のなかで言いたいことや思うことがたくさんありましたが、こうすることがいちばん簡単な改善方法でしたね。
-自分のなかで溜め込みすぎてしまうこともあったのでは?
でも、わかりやすく人がどんどん辞めていって、自分の会社だったからダイレクトにショックを受けていたので、絶対にこの癖を直さなきゃという意志のほうが強かったです。人よりも苦労していなかったら程々に社員と上手くやればいいや、くらいに最初は思っていたと思いますが、その悪循環があったからこそ今出会えた人との関係を大切にしようと感じました。
-えみりさんなりの人との距離の縮め方はどんなことでしょうか?
キャバクラの時は意外とコミュニケーション能力が必要なかったんです。キャバクラというのはすごく不思議な世界で、話の内容よりもその場の明るさだったり楽しさが重要なので、真面目に考えて会話するというよりもどう盛り上げるかが重要でした。ですが、昼職のほうは相手の話を聞くことが重要で、いきなり聞いても本当のことを言ってくれないので、時間や場所、タイミングを考えています。
-話を聞き出す環境を設けるんですか?
そうですね。最初は「言いたいことがあったら何でも言ってよ!」とか、「何でも聞くから本当のこと言ってみて」とストレートに言っていましたが、やはり上下関係もあるのでなかなか本当に思っていることは話してくれなくて(笑)。ちゃんと話せる環境を作ることが大事だと思います。それこそご飯に行くとか、日頃から会話するとか、そういう些細なコミュニケーションがないと相手も仕事という意識がすごく強いので、いきなり「仲良くしよう!」といっても仲良くできない。キャバクラ時代では「今日からすごい仲良しだよね!」みたいなノリでコミュニケーションを取っていたので、そこは全然違うなと感じました。だからこそちゃんと話す場を設ける環境作りが大事なんです。ご飯に行くにしても、日程、時間、お店選びなど、話せる環境を作ることが私の仕事だと思うので。
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Emiri Aizawa/愛沢えみり 1988年9月1日生まれ。歌舞伎町のジェントルマンクラブに在籍していた2011年、23歳で雑誌『小悪魔ageha』からスカウトをされ、初登場ながら特集を組まれる。その翌年2012年には同誌の専属モデルとなり、モデルとして活動しながらも『日本一のキャバ嬢』としてTV、ラジオなどにも出演。2013年7月には自身初のブランドとなるEmiriaWizを立ち上げ、2016年に新宿に第1号店を出店。モデル・社長もこなす傍ら、ドレスサイト“maison de beaute”、美容クリニック“VENUS BEAUTY CLINIC”、歌舞伎町キャバクラ“FOURTY FIVE”のプロデュースも行っている。 Instagram :@emiri_aizawa |
ILLUSTRATION: FUKUDA
INTERVIEW&EDIT: KAHO FUKUDA
DESIGN: AZUSA TSUBOTA
CODING: JUN OKUZAWA