ブックを作るのは仲間との作品を残したいから
みんなの気持ちが高まるまではやらない
-SHIZENやTHE OVERSEAは常に注目されているサロンだと思います。撮影依頼も多いのでは?
ありがたいことに業界誌からファッション誌までたくさんの撮影依頼をいただいているのですが、結構お断りしていることが多いんですよ。もちろんその雑誌の色に合わせてヘアを作るのはとても大事なことだとは思います。似合わせるということは新しいお客さんを呼び込むことにも繋がりますし。ですが、その撮影に合わせてクリエイションするなら僕達がサロンでやっているクリエイティヴの意味がなくなってしまうじゃないですか。やはり、僕らの個性が活きる媒体と活きない媒体があるので。僕らの美容観とマッチする撮影であればたとえノーギャラであっても、いくらでも全力で頑張ります。でもそうではないのであれば、きっとお互いマイナスになってしまうと思うんです。
-常に新しいヘアスタイルを提案し続けるKOSHIさんのインスピレーション源は?
そのモデルにはどういう時代背景が似合うだろうっていうのは考えます。僕がインスタのシューティングをやろうと言った発起人なので、詳しくは言えないですが僕達らしいニュアンスの作り方があるんです。
-SHIZENではZINEも発行されていると伺いました。どういった内容のZINEを制作されているのでしょうか?
SHIZEN BOOKSという名前で自主出版しています。一応本屋でも置いてもらっていて、1冊目がティム・バーバーというNYのフォトグラファーが撮影してくれたものです。僕達は本に関しては素人なので本が売れて万々歳というわけでは全くないんですよ。目的は販売のためではなくて、せっかく才能がある人やいいモデルと出会えているので、何かみんなで作品を残したいなと思っています。なので、SHIZEN BOOKSに関わるフォトグラファーやモデルには、完成した本をいくらでもプレゼントするけど、ノーギャラ。これはみんなが本当に一緒にやりたいと思ってくれているから叶うことなんだと思います。だから、気持ちが高まるまではやらないようにしています。
-今見ても衰えない新しさを感じます。
NYをよくわかっている人達と作るし、時代に流されない写真が撮れているんだと思います。今フォトグラファーのリチャード・カーンとの新しいブックを制作中で、何年もかけて日本とNYで撮りためていたヌードとアートの間みたいな写真があるんですが、とあるスケーター集団が「どうしてもこれをブックにしたい」と資金を出してくれたんです。
-撮影したあとのデザインはどうしているんですか?
デザインも僕らやそれに参加してくれたクリエイター達で、ああしよう、こうしようって相談しながら進めています。その時のそれぞれの思いがあるから、雑誌の形は全てバラバラにしているんです。
-制作期間はどのくらいですか?
だいたい半年くらいはかかっていると思います。この前発行したものも3月にシューティングが終わって、ブックになったのが10月なので7カ月近くかかっていますね。意外とエネルギーが必要で、僕達は素人なので、でき上がるまでにすごく時間がかかるんです。みんなそれぞれ仕事を持っているから期日がない分完成まで時間が経ってしまいますね。でも本当にいいものを作りたいから焦っても仕方ないです。
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KOSHI 1974年8月12日生まれ。2005年にNYにてSHIZEN 、2008年に南青山にてTHE OVERSEA をオープン。その後、ブルックリン・ウィリアムズバーグにSHIZEN BROOKLYNとして拡張オープン。NYとTOKYOを毎月行き来し、サロンワーク、シューティングなどをこなしながら、両店を運営している。2020年はロンドンに進出予定。
Instagram :@koshi007 SHIZEN Brooklyn @shizenbrooklynADD. 57 N 6TH ST (Between Whythe Ave & Kent Ave) Brooklyn NY 11249 TEL. 347-529-6517 Close on every Tuesday. THE OVERSEA @theoverseaADD. 東京都港区南青山3-7-16 キラキラビルB1 TEL. 03-6319-5066 火曜日定休日 |
ILLUSTRATION: SHUHEI UCHIDA
INTERVIEW: SHOKO YAMAMOTO
EDIT: KAHO FUKUDA
WEB DESIGN: AZUSA TSUBOTA
CODING: JUN OKUZAWA