映画や漫画、街なかを歩いている時
インスピレーション源はどんなものにでもある
−現在は日本とロンドンのどちらをベースに?
今はロンドンベースです。日本での仕事は帰ってきたタイミングが合えばという感じで、今回も1ヶ月だけ。
−日本とロンドンでクリエイションの違いを感じることはありますか?
ヘアスタイルの違いは特に大きく変わらないと思います。 エディトリアルで大きな違いといったら、ロンドンはお金がもらえないことが多くて。インディペンデントで出ている雑誌が多いんですが、そういう雑誌がクリエイターやファッション業界から “かっこいい” と言われている雑誌なので、お金をもらうために働いているんじゃなくて、その仕事をやることによって自分のポートフォリオになったり、キャンペーンとかコマーシャルの仕事に繋がっていくという流れがあって。そのためにみんないいエディトリアルをやりたがるし、そこでかっこいい作品を作って、自分のポートフォリオを強くするんです。そういう意味では、 服や写真などあまり制約がないので自由度が違うなと思います。でも、日本はファッションページやタイアップで服を見せなきゃいけないというところがメインだったりするじゃないですか。そこは似ているなと感じます。
−斬新なヘアスタイルを多く生み出している森岡さんですが、何からインスピレーションを得ているのでしょうか?
いろんな年代の様々な国のカルチャーが好きなのでそれをベースに、プラス自分の要素を加えて表現しています。インスピレーションっていうと、わりとなんでもって感じですね。もちろん映画もそうですし、漫画でもあり得るし、街なかを歩いてる時もそうだし、髪型じゃなくても形やバランス、質感とか、ヘアに落とし込めるところはどんなものにでもあるなと感じています。
−カルチャーはいちばん何から影響を受けていますか?
昔からカウンターカルチャーがすごく好きで。パンク、モッズ、スキンズあたりはヘアスタイリストになる前の10代の頃からずっと好きでした。だからそういう要素は人より多めに表現していると思います。
—ではこれなら自信があるというスタイルは?
ロマンティックな感じというより、ちょっと強めなカルチャーを感じるスタイルにはたぶん人より精通しているかなっていう自負はありますね。
−ヘアスタイルを作るにあたり、必要不可欠なものはありますか?
プロダクト的なものでなくていいのであれば、親指と人指し指でもいいですか?
−親指と人指し指ですか!?
もちろん普段から使っているプロダクトもあるんですけど、スタイリング剤もそんなに興味もないし、道具もそこまでこだわりがないんですよ。いつも使っているブラシがなくなろうが、コームがなかろうが、スタイリング剤がなかろうが全然大丈夫です。だから、親指と人指し指でやる感じ(笑)。これをいちばん信頼しているし、これがなかったら自分の作っているニュアンスは作れないと思います。
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森岡祐介/Yusuke Morioka
1984年、兵庫県生まれ。2014年に渡英、Hair Stylist Soichi Inagaki氏に師事。2016年にCoffin Inc(LONDON)に所属。2018年にはeight peace(TOKYO)所属となる。 国内外のファッション誌をはじめ、ブランドのキャンペーンビジュアルや、著名人のヘアスタイルを手掛ける。 |
ILLUSTRATION: ALICE BLOOMFIELD @Bl00MFIELD
INTERVIEW&EDIT: KAHO FUKUDA
DESIGN: AZUSA TSUBOTA
CODING: JUN OKUZAWA