幸せにポジティブに生きるためには
何を好きで嫌いか自分を知ることが大切
—自分のことを知るために必要なことは?
自分が何を好きで嫌いか。何が心地良くて心地悪いか。メイクや服の、好きと似合うがズレていないか。健康面ではどの季節にどんな症状が出て、どこが弱いのか。何に怒りと悲しみを感じるか。この5つを知るために、紙に書き出してみることをおすすめします。健康は、もちろん元気に笑顔でイキイキと生きるために。怒ってる人はストレスを自分も周りも抱えさせ、悲しみは被害者意識が生まれ、何事も人のせいにする癖がついて成長を阻みます。怒りの表現は一歩間違えると、信頼を取り戻すのに時間がかかってしまいます。なので、自分が何に怒りやすく落ち込みやすいのかを知っておくと、ネガティヴに陥る入り口が分かり、そこに入る前に対処できるようになります。心地良い、悪いを知るのは、自分が強いストレスでネガティヴに陥らないように。心地悪いものを避け、ストレスを感じたら五感を心地良いもので満たすことで、ストレス解消につながります。“好き”と“似合う”は、近いほどセンスが良いということになります。これは第一印象による信頼にも繋がりますし、褒め合うコミュニケーションにも発展します。好き嫌いについては、“嫌い”は嫌な魔力があり、嫌いに捉われすぎて嫌いに執着してしまう怖さがあります。真面目な人ほど嫌いを直視しすぎてしまう傾向が。人にはそれぞれ環境があり個性が違います。それを理解し、人に指を指さない練習をしましょう。ちなみに私は人の嫌いを作らないために、西洋占星術を学んでいます。苦手な人の性格を星占いで理解して「こういう星の元だから仕方ない。先に理解しておこう!」とすると、“嫌い”がなくなり、その個性を面白がれるようになるから不思議です!
—逆に嫌いなものばかりに目が行ってしまうんですね。
真面目な人ほどその傾向があるように思います。嫌いに真剣に向き合い、捉われていってしまう。好きなもの、心地よいと普段から感じるものを知っておいて、そちらに目を向け、それらに囲まれることで、ストレスが緩和され、好きに熱中するうちに、嫌いの存在は薄れ、緩和され、忘れられ、執着しなくなっていくと思います。だから、幸せにポジティヴに生きるためには、初めにお話しした“自分を知る”ことが大切になってくるんですね。
—自己分析というのはポジティヴになる近道になるんですね。
まさにそうです。自分が何がきっかけでどうネガティヴになり、何がきっかけでどんなペースでポジティヴになるのかを理解しないことには、心の建て直し方がわからなくなります。時には、周りの信頼する人達に「あなたはこんな時、どう乗り越えてる?」などと聞いてみて、他のほうが実践していることを取り入れてみる柔軟さも大切だと思います。
—幼少期はコンプレックスなどでネガティヴ思考だったと伺いました。ポジティヴ思考になってから変わったことや、その先に待っていたものは何がありましたか?
見るもの見るものを素直に受け取ることができるようになり、物事の明るい側面を見ることの有り難みが日々感じられるようになりました。今思えば、ネガティヴだった時期があるからこそ、ポジティヴのありがたみがわかる、暗闇だからこそ光のありがたみがわかったので、無駄な時間ではなかったと思います。当時は階段から墜落した事故の後遺症が顔に残り、私の顔を見るとみんなが怖がってる……と思い込んでしまって、人と目を合わせることが恥ずかしかったのと、3月の末生まれで小さかった上に太っていたので、よく外見のことを兄弟姉妹と比べられてからかわれていて、人と比較しては落ち込んでばかりいる子供でした。子供の頃は世界が狭いので、余計に逃げ場がなくて……。でもこのネガティヴの経験があったからこそ、そこから光を見出し、光のほうへと進むうちに、心地よい光に包まれている今がある。という感じです。“今この時”を楽しみ、物事を明るく捉えて来たら気がつけばここにいる感じ、幸せの椅子に座っているという感じです。
—ネガティヴだった経験がバネに?
はい、そうです。ポジティヴの才能は、ネガティヴの経験をした人にこそあると思います。私は思いやりある母親のお陰で、ネガティヴをポジティヴに変えることができました。母はそんな私をみかねて、化粧品会社で働き出し、そこで得た情報をもとに“4つの魔法”を授けてくれたんです。
「本当の美人は目鼻立ちが立派な人のことではなく、一緒にいて心地良い人のことを言うの。だから大人になって心地よい美人になるための4つの魔法を教えてあげるから、今日から実践!」と言って。
1つ目は“姿勢を良く”。その時に、胸の真ん中に目があると思って、その目で相手に話しかけると、常に相手に胸を開いてるから、心を開いてると言う所作になり、第一印象が良くなる。例えシャイで相手の目が見れなくても、胸さえきちんと相手を向いていれば、心を開いて心をあなたに傾けていると言う意思表示になるからね、と。
2つ目は“笑顔”。いつも笑顔でいると、会う相手にも笑顔が伝染し、その笑顔を見て、また自分も笑顔になる。笑顔は巡っていくのよ、と。
3つ目は“目線”。大事な時には勇気を持って相手の目を見る。どうしても恥ずかしくて目線を逸らしたくなったら、横にではなく、できるだけ相手と自分の胸の間の縦の道に目線を落とす。すると、嫌な雰囲気の目線逸らしにならないと。
4つ目は話し方、聞き方の間合いなど。この4つの魔法が出来るようになってきたら、どんどん周りの大人が褒めてくれるようになり、気がつけば、自信がある子供に変わっていました。特に良かったと今になって思うのは、できた“結果”だけを褒めるのではなく、その努力の“過程”を褒めてくれたことですね。
—結果と過程では褒められた後に何が変わるのでしょうか?
私の大好きな中野信子さんの著書にも書かれていましたが、“子供は褒めて育てる”が一般的に常識のようになっていますが、実はそれは褒め方によるそうで……。“結果を褒める”と、上手くいかなかった時に正直な報告を出来ずに、嘘をついて誤魔化してしまったり、より大きな目標にチャレンジするのが怖くなって、挑戦しようとしない子になる傾向があるそうです。“過程を褒める”と、「もっと自分にはできるかも!」と希望的観測を持ち、どんどん努力を楽しみ、工夫力や智慧がついていくので、自ずと結果も良くなるし、楽しんで学ぶようになる、と。それを聞いて、私は後者だと思いました。時には挫けたこともあったのですが、その度に休ませてもらったり、励まされたりして、階段を楽しんで上がることを選択してきた。「こんな努力をしているのだから、きっともっと美しい景色が見れる! そして見たい!」の連続で、気が付けば幸せでポジティヴな今があります。
そこでぜひ、実践してほしいことが。誰でも見たくない過去ってあると思うんです。そこに捉われる心を解放するために、誰もが自分のなかに持っている幼い頃の自分“インナーチャイルド”を抱きしめてあげる練習です。幼き頃の傷や恥を思い出してしまった。落ち込んだり、怒り、悲しみに捉われそうになったら、その自分を優しく抱きしめるイメージを持つ。「もう大丈夫だから。その経験が私を強くして、今幸せだよ。ありがとう!」と何度も声をかけて、インナーチャイルドが笑顔になって去っていくイメージをするんです。そうすることで、過去に捉われず過去に感謝して、良き未来のために“今ここにあるものに感謝して楽しむこと”ができるようになると思います。
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アン ミカ
1975年3月25日生まれ。韓国出身、大阪育ち。1993年にパリコレに初参加以後、モデル業以外でも、テレビ、ラジオ、講演会、歌手、ドラマ出演のほか、漢方養生指導士、野菜ソムリエなど多数の資格を生かし、化粧品、洋服のプロデュースなど多方面で活躍中。著書「アン ミカ流ポジティブ脳の作り方 365日毎日幸せに過ごすために」(宝島社)などがある。 |