ポジティヴは努力あってのもの
常に笑顔で自分の可能性を信じること
—これまでのお話のなかでも、著書『アン ミカ流 ポジティブ脳の作り方 365日毎日幸せに過ごすために』でも、お母様からの言葉でしたり、偉人の言葉、本からの一節だったりと、相手の意見を吸収することでポジティヴに繋がっているようにも感じました。
そうですね。世界の偉人や苦労された先人の本質を読むのが大好きです。自分の言葉とは違った言葉で、違う方向からいろんな感情を受け取れるのが心地良い。もともとが学び好きなんです。初めての経験って、恐れの感情が湧くことが多いと思うのですが、私は「いくつになっても初めてのことがあるので、人生って楽しい!」と思ってワクワクしてしまう(笑)。これは両親から「世の中に失敗はない。そこに学びと発見があれば」と言われて育ったから。失敗を恐れないで学んで生きようと心掛けていたんです。失敗という漢字は「敗れることを失う」と書く。負け知らずになってしまったら、それは人生の失敗という意味だと私は捉えています。だから私、常に負けたり、失ったりすることも繰り返しながら、喜びもありがたみもわかっていくことが、ポジティヴであることに大切だと思っています。そして大切なのが謙虚であること。
—人への思いやりが大切に?
もちろん! 幸せの根っこは愛と思いやりです。いろんな表現で愛を伝えられますが、まず大切にしたいのは言葉です。言葉は“刃”にも“愛”にもなる。その言葉の使い方ひとつで、人の喜びを奪ったり、逆に喜びを与え、その人の心を明るい景色にすることができる。ならば愛ある言葉を使うほうが幸せですよね。人の言動にはその人の心が表れますから形だけではダメ。嫌な言葉を使う人は口も顔も歪んでいきますよ! 最近冷たい言葉を使っているな、と感じたら、心を立て替えて、愛ある言葉に変えていってほしいですね。
—NYLON JAPANは昨年より『NEW POWER NO BORDER(性別、人種、年齢などあらゆる境界線を越え、常に新しいパワーを発信する)』をテーマに掲げています。アンミカさん自身のNEW POWER NO BORDERな考えはどういったものでしょうか?
自分のなかに強い枠を作ってしまうと、小さな王国の王様になってしまい、傲慢になって感謝の気持ちを忘れがちに。枠組みを作ると、枠の外は自然と敵になり、自分の枠やルールで理解できない人を「許せない」と思い、自分を守ろうと外を攻撃することも。私は境界線を越えるというよりは境界線を作らないことが線を超えていることになると思います。国境という境目が実際にはあるのですが、地球人と最初から思っていれば、感覚的に国境はなくなりますよね? 私は韓国人として日本で育ち差別を受けたことがありますが、差をつけてる人達は無意識なことが多いように感じました。「自分達とは違う何だかわからない脅威だから、とにかく攻撃しておこう……」みたいな、知らないことを知ろうとする怖さというのでしょうか? 知らないことは知ればいいのに! 例えば、地球上に様々な国で友達をいっぱい作るとか。世界中にたくさんの友達を作ることで、それぞれの国の宗教や文化を知ることができると、突然異国の人に注意されても「失礼な! 何だよ!」ではなく、「この国の人にはこんな文化と考え方があったんだ。ごめんね」という謙虚さが生まれ、無駄な争いはしなくなります。とにかく自分から線を作らないことが大切なのでは?
—自分が知らないことに対して寛容に受け止めるんですね。
はい。知らないことを恐れず恥ずかしがらず、“教えていただこう”と謙虚な気持ちで、寛容に向き合ってみることが大切だと思います。差別は、知らないことを知らないと認めないまま、傲慢になって、「知らないことは自分に理解できないことだ!」と決めつけて、相手を疎外すること。それは自分の器の小ささを認めたも同じこと。結果恥ずかしいことに。人と人の“差を面白がる”くらいの気持ちで、好奇心を持って相手を理解しようと謙虚に努め、器を広げて、人生の人間交差点のご縁を面白がって、生きてほしいですね!
—ありがとうございます。では最後に今この苦しい状況もポジティヴに変わるメッセージをお願いします。
感謝を忘れないで。小さなことを当たり前に思わず、より良かったことと比較せず、“今あるもの”に目を向けて感謝する謙虚な気持ちを忘れないで! そして、自分のことは自分しか信じてあげられないので、先ずは自分の可能性を信じてあげられるように。そのためには、自分が動くことで周りが笑顔になり喜んでくれる、自分が周りに喜びをもたらしていると信じられる努力をすること。 ポジティヴは努力ありきです。常に今言ったことを信じて笑顔で生きる! 脳にいちばん近い筋肉は顔ですから、「笑っていれば笑い脳になる」と私は信じています。自分で何事も思い込み、小さな枠を人との間に作らない。笑顔でボーダレスに相手を理解しようと努め、自分の尊厳も大切に、自分の可能性を信じる。大切なことだと思います。
アン ミカ
1975年3月25日生まれ。韓国出身、大阪育ち。1993年にパリコレに初参加以後、モデル業以外でも、テレビ、ラジオ、講演会、歌手、ドラマ出演のほか、漢方養生指導士、野菜ソムリエなど多数の資格を生かし、化粧品、洋服のプロデュースなど多方面で活躍中。著書「アン ミカ流ポジティブ脳の作り方 365日毎日幸せに過ごすために」(宝島社)などがある。 |