CULTURE
2013.10.05
『ムード・インディゴ うたかたの日々』
ありきたりのラブストーリーに飽きた人へ! |
監督 |
|||||
ミシェル・ゴンドリーの世界はどうしてこんなに素敵なんだろう、どうしてこんなにキラキラと輝いているんだろう。『エターナル・サンシャイン』のあの切なさ、『恋愛睡眠のすすめ』のあの絵本のような可愛らしさに魅了された人は、新作『ムード・インディゴ うたかたの日々』の世界観ももちろん気に入るはず! けれど、今回のストーリーは「最も悲痛な恋愛小説」と称えられたボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」が原作、後半からは、ときめきで胸が締めつけられるのではなく、悲しくて切なくてやるせなくて胸が締めつけられる。ふんわり夢心地なだけじゃない、愛する者を失っていく切なさが本当に切なくて……。得るものと失うもの、どちらかだけじゃないその両方を描いているからこそ、とびきりファンタジーで生々しい痛みも感じる。 キュートで幸せな世界から、あまりにも残酷で悲痛な世界へと移り変わっていくさまは、これってゴンドリー作品? と思ってしまう瞬間もあるけれど、そうは言っても、映画の住人になってみたくなるような、寓話を映像化したような世界はやはり彼ならでは。幸せで悲痛なカップル、クロエとコランを演じるオドレイ・トトゥとロマン・デュリスという組み合わせも世界観にぴったりでイイ!
|
text rie shintani