CULTURE
2013.10.17
『トランス』
騙されない!と思っても騙される!? |
監督 |
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愛する人の記憶をなくしてしまう哀しみのラブストーリーとか、記憶と記憶をつなぎながら謎を解いてく難解ミステリーとか、“記憶”をテーマにした映画は奥が深い。ダニー・ボイル監督の新作『トランス』もそんな記憶にまつわる映画。約40億円で落札されたゴヤの傑作「魔女たちの飛翔」がオークション会場から盗まれてしまうところから始まるけれど、物語が進むにつれて、実は盗まれていたのは絵画ではなく人の記憶の方なんだ、という仕掛け。 記憶の鍵を握るのは主人公サイモン(ジェームズ・マカヴォイ)。彼に関わる窃盗団リーダーのフランク(ヴァンサン・カッセル)、催眠療法士のエリザベス(ロザリオ・ドーソン)らがサイモンの失われた記憶をめぐって、互いに探り合いながら各々の欲望を追求していく。その探り合い、騙し合いが何とも面白くて、最後の最後で「そういうことだったのか!」と納得。すべての謎に気づく頃にはすっかり騙されているという心地よさ。 サイモンを演じているジェームズ・マカヴォイがまたいい味を出してる! これまで善良なキャラクターを多く演じてきているだけに、この役はかなり新鮮!
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text rie shintani