CULTURE
グザヴィエ・ドランが描く“好き”に気づいてしまった瞬間『マティアス&マキシム』
『マティアス&マキシム』
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グザヴィエ・ドランの作品というと、母と子がテーマだったり、自分自身についてやセクシャリティについてだったり……普遍的であるけれど、彼にしか描けない“何か”を感じさせる、観終わった後にこれがドランの世界なのねと、その世界に浸らせてくれる力がどの作品にもあります。そしてドランの映画にはどこか陰がある、それも彼の作品が持つ“らしさ”のように思います。
しかしながら、新作『マティアス&マキシム』はドラン自身が「この映画は、これまでの僕の作品に比べたら圧倒的に明るいだろう。僕自身ずっとそういう映画が作りたかったんだ。」と語っているように、気の知れた仲間とのパーティーシーンから始まることも含め、たしかに明るくて、彼の作品を観てきた人にとっては、これってドランの映画? ちょっと雰囲気違う? と感じるかもしれません。
「これは、ゲイ映画ではない。『マティアス&マキシム』 は、ずっと挑戦したかったラブストーリーであり、普遍的なロマンスなんだ。」ともドランは語っていて。誰もが共感する恋ごころ──ふとした瞬間に気づいてしまった気持ち、その気持ちをどうしたらいいのかという戸惑い……そう、片想いです。恋愛映画では決して特別ではないテーマであるのに、ドランの手に掛かると不思議なんです、その気持ち知ってる! という共感とともに、知っているはずなのに改めて気づかされるような。結局のところ、ドランの世界にしっかり浸っている。「〜圧倒的に明るいだろう」と、明るくしたからこそ見えてくるものをドランは丁寧に描いている、そんなふうにも感じます。
物語の主人公はタイトルにもあるようにマティアス(ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス)とマキシム(グザヴィエ・ドラン)の2人。幼い頃から親友であり兄弟のような関係だった彼らは、ある日、友だちの妹が撮っている短編映画に出てほしいとお願いされ、男同士のキスシーンを演じることに。お芝居としてのキス、たった一度の戯れのキスで芽生えてしまった感情を、2人はどう受け止めるのか。恋と友情の狭間で揺れる12 日間が描かれます。
この気持ちはあの人のことが好きっていうこと? 気持ちを伝えたらこれまでの関係が壊れてしまわない? いったい私はどうしたらいいの……。誰もが経験したことのある片想いの感情に浸れる映画です。
切なさ度 |
★★★★☆
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愛しさ度 |
★★★★☆
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眼差し度 |
★★★★★
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監督
グザヴィエ・ドラン
出演
ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス
グザヴィエ・ドラン
ピア・リュック・ファンク
ハリス・ディキンソン
アンヌ・ドルヴァル
キャサリン・ブルネット
配給
ファントム・フィルム
9月25日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショ
© 2019 9375-5809 QUÉBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL
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