CULTURE
俳優も監督も題材も注目のポーランド映画『聖なる犯罪者』
『聖なる犯罪者』
|
いま居る場所から逃げたいと思っているときにチャンスが転がり込んできて、でもそれは倫理的にいけないことだとしたら、いけないと分かっていても人はそのチャンスを手に入れようとするのでしょうか、掴んでしまったらどうなるでしょうか。
この映画『聖なる犯罪者』の主人公ダニエルは、初年院で出会ったトマシュ神父の影響で熱心なキリスト教徒に目覚めます。仮釈放が決まり、製材所で働くことになり、少年院から遠く離れた田舎へやって来た彼は、地元の教会を訪れます。前科者は聖職者になれないと知りながらも「神父になりたい」という夢を捨てきれないダニエルは、教会で出会った少女に「司祭だ」と嘘をつき、運命のいたずらなのか、新任の司祭だと勘違いされて司祭の仕事を任されることになるのです。
そんな簡単に信じちゃっていいの?と疑ってしまいますが、この物語は実際にポーランドで起きた事件──少年が3ヶ月間神父のふりをしていた事件をもとに作られています。ヤン・コマサ監督が言うには「ポーランドだけでなく、似たような事例が頻繁に明るみに出ている」そうで、多くの場合は法から逃れようと身を隠す場所として小さな村が利用されやすいのだとか。ダニエルの場合はもう少し複雑で、自分が救われたように自分も誰かを救いたいと思ったのかもしれません。
ダニエルは少年院出身という本来の顔を隠して、司祭“トマシュ”という偽りの顔で生活を始めるわけですが、二つの顔を演じるバルトシュ・ビィエレニアの演技が素晴らしくて。そもそも彼の成りすまし行為は許されるものではないですが、罪を犯した者だからこそ語れることもある。真っ直ぐな彼の語り=メッセージは村の人たちの心を動かし、もちろん映画を観ている私たちの心にも響いてくる。罪の所在があやふやになり、気づけばダニエルの発する言葉に引き込まれる……不思議な感覚を味わうはずです。
自分とは関係のない世界の話では決してなく、1人の青年を通して見えてくるのは、罪の重さ、そして村の人々を通して見えてくるのは、罪は犯していなくても人を傷つけることがあるという気づき。とことん考えさせてくれる映画です。
青色がかった映像美度 |
★★★☆☆
|
各国の映画祭で絶賛度 |
★★★★☆
|
ダニエルの言葉が響く度 |
★★★★☆
|
|
監督
ヤン・コマサ
出演
バルトシュ・ビィエレニア
アレクサンドラ・コニェチュナ
エリーザ・リチェムブル
トマシュ・ジェンテク
レシュク・リホタ
ルカース・シムラット
1月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷ホワイト シネクイントほかにて公開!以降全国順次
© 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ.- WFSWalter Film Studio Sp.z o.o.- Wojewódzki Dom Kultury W Rzeszowie - ITI Neovision S.A.- Les Contes Modernes
|
RECOMMEND
ニュージェネGALはポスギャル♡ 新世代カルチャーマガジン POSTOKYO.jpでチェック
80’sニュー・ウェーヴを彷彿とさせるMiami Horrorの約2年ぶりとなる新作ミニアルバムに迫る
絶望と希望を同時に感じる、伝えたくなる映画『世界の終わりから』
CULTURE NEWS
国内最大級のヒップホップフェスティバル『POP YOURS』が 幕張メッセにて開催決定!
ペアで撮影したい韓国の最新フォトブースがかわいすぎる♡–韓国HOT NEWS 『COKOREA MANIA』 vol.438
坂東龍汰の繊細な演技が光る『君の忘れ方』