CULTURE
この映画を必要としている人はきっと多い!『サンドラの小さな家』
『サンドラの小さな家』
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どんなことでも行動に移すには勇気が必要で、一歩踏み出すことはなかなか難しいものです。けれど、身近な人や映画のなかの主人公が、決断して行動する姿を目にすると、その熱量が伝播する。私も頑張ってみようかな、私も一歩踏み出してみようかな、そんなふうに思考のスイッチを押してくれる。『サンドラの小さな家』もスイッチとなる映画です。
タイトルが語るとおり、この映画はサンドラが小さな家を建てる物語。なぜ、自分で家を建てることになるのか──その背景には女性が抱える社会的問題が横たわり、彼女が中心となって作られて行くコミュニティーの大切さも描かれます。
サンドラが家を建てようと思った理由は、必要に迫られてのことです。DV夫の元から逃げ出し、2人の幼い娘と3人で女性支援グループの支援を受けてホテルに仮住まいをしながら公営住宅の順番を待っていましたが、順番が回ってくるのに何年かかるか分からない。子供たちのためにも安心して暮らせる家が必要でした。ある日、インターネットで、3万5千ユーロで家を建てられるというサイトを見つけたサンドラは自分で家を建てることを決意します。
そんなに簡単に建てられるものなの?って思いますよね。決して簡単ではないけれど、1人では難しいけれど、彼女を助けてあげたい!という人たちが、1人また1人と増えて、まっさらな場所に家が建てられていく、その過程は感動的です。と同時に、サンドラを中心にコミュニティーが出来上がっていく、人との繋がりが生まれていくのも感動的。
日本で生活していると、この映画のなかで描かれるようなコミュニティーを現実的に想像するのは難しいかもしれないですが、手を差しのべてくれる人がいる、人との繋がりはこうやって生まれていくのかと希望が持てる。
そして、サンドラを演じたクレア・ダンが素晴らしい。実はこの映画の企画(・脚本)はもともとクレアによるもの。ある日、親友から「(家主からいきなり退去を告げられて)ホームレス状態になってしまった」という何とも理不尽な出来事があったと、電話で相談を受けたクレアは、子供のいる女性が家を見つけられずにいるなんて社会のシステムは崩壊している!と強く感じ、この映画の脚本のアイデアに繋がっていったそうです。
崩壊している社会のシステムから抜け出して自分で家を建てるサンドラは、本当にたくましくて、また周りを頼ってもいいのだという気づきも与えてくれます。強く生きる、優しく生きるヒントを教えてくれます。人は何かしら生きづらさを持っている、だからこそサンドラに共感する。この映画を必要としている人はきっと多いはず!
いい映画だと人に勧めたくなる度 |
★★★★★
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サンドラたちを応援したくなる度 |
★★★★★
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観ると優しい気持ちになれる度 |
★★★★★
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監督
フィリダ・ロイド
出演
クレア・ダン
ハリエット・ウォルター
コンリース・ヒル
4月2日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
©Element Pictures, Herself Film Productions, Fís Eireann/Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020
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