CULTURE
成田凌主演。想い出を揺さぶってくる『くれなずめ』
『くれなずめ』
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久々に会った友人と昔話で盛り上がるときの内容って、特別なエピソード、もの凄いエピソードというよりも、どうってことのない日々のなかにあるどうってことのないことを、ああだったよね、こうだったよねと懐かしむことのほうが多いような気がします。
映画『くれなずめ』は6人の青年たちが友人の結婚披露宴で余興を披露するべく久々に集まって、学生時代のどうってことのない日々を思い出す、入口はそんな脱力系のコメディですが、物語が進むにつれて、じわじわと色んな感情が湧いてくる。あるキャラクターの存在について「えっ、どういうこと?」という驚きから始まって、「そういうことだったのね……」「そういう気持ちわかるなあ」と、クスクス笑いながらもどんどん心が揺さぶられちゃうんです。しかもその揺さぶられるポイントも揺さぶられ方も観る人それぞれに違うはずで──。
そもそもこの映画は松居大悟監督が作・演出を務める劇団「ゴジゲン」で2017年に上演された舞台の映画化。監督いわく「友だちに書いた手紙みたいな作品」だったため、映画化は考えていなかったそうなんです。でも、映画化しようとプロデューサーに背中を押された。たとえ個人的なエピソードであっても、個人的な想いであっても、誰かが誰かに向けた真っ直ぐな想いというのは、想いを囲む壁(があるとしたら、それを)を容易に突き破ってくる、他者に届くものなんですよね。「くれなずめ」で描かれているのは、まさにそういう想いです。
ちなみに、タイトルの「くれなずめ」とは、日が暮れそうでなかなか暮れないでいる状態、転じて、前へ進もうとしても障害があってうまく進めないでいる状態を指す「暮れなずむ」を命令形にした造語。この言葉の意味をどう捉えるかもきっと人それぞれですが、自分は何を感じるのか、どう感じるのか、ある意味、自分自身を発見する映画でもあると思うんです。
想い出が甦る度 |
★★★★☆
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コメディ度 |
★★★★☆
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ジーンとくる度 |
★★★★☆
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監督・脚本
松居大悟
出演
成田 凌
若葉竜也
浜野謙太
藤原季節
目次立樹
飯豊まりえ
内田理央
小林喜日
都築拓紀(四千頭身)
城田 優
前田敦子
滝藤賢一
近藤芳正
岩松 了
高良健吾
配給・宣伝
東京テアトル
2021年5月12日(水)テアトル新宿ほか全国公開
©2020「くれなずめ」製作委員会
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