CULTURE
圧倒的パワーと才能に揺さぶられる『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』
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「ああ、音楽の力ってやっぱり凄いよ。」──『サマー・オブ・ソウル』は、そんなふうに観る人の感情を揺さぶってくる音楽ドキュメンタリーです。
1969年の夏。ニューヨークのハーレムにあるマウント・モリス公園で、6週にわたり毎週日曜に開催された「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」。その野外コンサートのステージに立ったのは、スティービー・ワンダー、B・B・キング、マヘリア・ジャクソン、ニーナ・シモンなどブラックミュージックのスターたち。30万人以上(の観客)が参加したフェスティバルですが、その記録映像はなんと50年もの間、地下室に眠っていたというのです。
2016年。この映画の製作者ロバート・フィヴォレントは、友人からハーレムの野外コンサートの映像素材のことを聞き、その持ち主を探し出します。そして権利を獲得し、5度のグラミー賞受賞者でありヒップホップ界の重要人物、アミール“クエストラブ”トンプソンを監督に迎え、ドキュメンタリー映画の企画が動き出しました。
そもそも大きなコンサートであるのに、なぜ語り継がれなかったのか。実は、同じ年の8月にハーレムから130キロ離れたウッドストックでもフェスが開催され、その「ウッドストック・フェスティバル」は、アメリカの音楽史に残る野外コンサートとして刻まれています。一方は語り継がれ、一方はイベントの記録や書類が残っていない……。その事実が信じられないとクエストラブ監督は言います。
「黒人はいつでも米国文化の創造力の源でした。しかし、こうした努力はいともたやすく忘れられました。自分が生きている間にこうした黒人文化の抹消が絶対に再び起きないようにしたいのです。この映画はその目的に向けて働きかける良い契機となりました。」(クエストラブ監督)
この言葉が示すとおり、『サマー・オブ・ソウル』はライブ演奏に重点を置きつつも、過去のニュース映像──ヴェトナム戦争、ドラッグの蔓延、ジョン・F・ケネディ、マルコムX、ロバート・ケネデイの暗殺。そして、フェスティバル開催の1年前に起きたキング牧師の暗殺(があったこと)を差し込むことで、現在進行中の情勢変化への一石を投じています。
ブラック・ミュージックのパワーに圧倒されながら、1960年代のアメリカで何が起きたのかを改めて知る。この映画は、知っておくべき事柄が詰まった今観るべき映画だと思うのです。
ヘアスタイルやファッションが刺激的度 |
★★★★☆
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ブラック・ミュージックを深く知れる度 |
★★★★☆
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出演者や曲を知らなくても盛り上がる度 |
★★★★☆
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監督
アミール・“クエストラブ”・トンプソン
出演
スティーヴィー・ワンダー、B.B.キング、フィフス・ディメンション、ステイプル・シンガーズ、マヘリア・ジャクソン、ハービー・マン、デイヴィッド・ラフィン、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、モンゴ・サンタマリア、ソニー・シャーロック、アビー・リンカーン、マックス・ローチ、ヒュー・マセケラ、ニーナ・シモンほか
配給
ウォルト・ディズニー・ジャパン
8月27日(金)全国公開
© 2021 20th Century Studios. All rights reserved.
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