CULTURE
知らないことだらけ!『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』
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人は、正体の分からない存在にどうしたって惹かれてしまうものです。その人物が創り出すものが素晴らしければ素晴らしいほど、強く惹かれる。たとえば、ミュージシャン、作家、画家、そしてデザイナー。『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』は、タイトルが語るとおり「ファッションの革命児」と言われたファッションデザイナー、マルタン・マルジェラのドキュメンタリーです。
このドキュメンタリーが特別なのは、マルタン・マルジェラがこれまでずっと匿名性を貫いてきた人物だから。キャリアを通して一切公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け、映画や写真に撮られることもなく、ミステリアスな男、謎の男、姿なきスーパースターとして活動してきた。そんな彼が沈黙を破り、ドキュメンタリーの主人公になることに応じた。これはもう、ファッションに興味がある人にとっては驚きの出来事ですし、たとえ興味がない人にとっても世界的に影響を与えてきた人物の正体が分かるとなれば、気になります。
正体が分かるとは言っても、マルジェラ本人が登場して語ってはいますが顔は映っていません。けれど、彼の手が触れるもの──彼の作品や彼の想い出の品々、彼の作品を着たモデルたち、また彼と関わりのある人たちのインタビューを通して、マルジェラという人物像が次々と映し出されていきます。どんな幼少期を過ごしたのか、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、四隅をステッチしたあの白いタグが生まれた理由、エルメスのデザイナーへの抜擢、20年目のコレクションをもって突然引退したこと、現在はどうしているのか……。
謎に包まれていたからこそ、カメラの前でマルジェラ自身が語ることすべてが「そうだったのね!」の連続であり、最初から最後まで「何も見落としたくない!」という欲望に駆られる。あらためて「マルタン・マルジェラって天才なんだな」と思うと同時に、さらなる興味も湧いてくる。もの凄く濃密で、もの凄く刺激的で、ファッションって何なんだろうと考えさせてもくれる。このドキュメンタリーから得る発見度は半端ないのです。
発見度 |
★★★★★
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刺激度 |
★★★★☆
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貴重度 |
★★★★★
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監督・脚本・撮影
ライナー・ホルツェマー
(『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』)
出演
マルタン・マルジェラ(声のみ)
ジャン=ポール・ゴルチエ
カリーヌ・ロワトフェルド
リドヴィッジ・エデルコート
キャシー・ホリン
オリヴィエ・サイヤール
カルラ・ソッツァーニ
エティエンヌ・ルッソ
ニナ・ニーチェ
サンドリーヌ・デュマ
ステラ・イシイ
カート・デボ
ピエール・ルージエ
配給・宣伝
アップリンク
2021年9月17日(金)公開
渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
© 2019 Reiner Ho lzemer Film – RTBF – Aminata Productions
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