CULTURE
須藤蓮という新しい才能と出会う恋の物語『逆光』
『逆光』
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“逆光”。何だかとても文学的なタイトルです。この二文字からどんな物語なんだろうって色々と想像しちゃいますが、決して難しい物語ではなく、誰もが「あ、その気持ち分かる……」と寄り添える物語、ラブストーリーです。
舞台は1970年代の真夏の尾道。主人公の晃(須藤蓮)は、大学の先輩・吉岡(中崎敏)に秘かに好意を抱いていて、彼と夏休みを一緒に過ごしたくて、自身の故郷に誘います。そして、幼なじみの文江(富山えり子)、独特の雰囲気のみーこ(木越明)が加わり、4人で過ごすように。
吉岡に想いを募らせる晃、みーこに興味を持つ吉岡、そんな彼らを見つめる文江──彼らの間に生まれる感情の描き方がとても繊細で切なくて美しい。尾道という情緒ある街並や風景の力もありますが、じわりとあふれ出てくる感情が観る者の心にすうっと染み込んでいくような、説明過多ではないからこそ感じるものがあります。
そんな彼らの恋を通して、なぜ“逆光”と付けられたのか、こういうことなのかな……と、その意味も見えてきます。好きすぎて、その人が眩しくて直視できないのも恋ですし、その人が光のような存在だからこそ、自分を照らしてくれる、輝かせてくれる、それも恋。言葉にし難い感情ですが、「ああ、その気持ち分かる……」と感じる瞬間が何度もおとずれるはずです。
また1970年代ということで、ファッション、音楽、ダンス、喫茶店……映画のなかで映し出されるレトロ感は、今の若い世代にとって新鮮に映るでしょうし、何よりも、主演だけでなく初監督としてこの映画に挑んだ“須藤蓮”という若い才能との出会いも新鮮です。
恋の煌めきと切なさ度 |
★★★★☆
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尾道に行きたくなる度 |
★★★★☆
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新しい才能と出会える度 |
★★★★★
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監督
須藤蓮
出演
須藤蓮 中崎敏 富山えり子 木越明
制作・配給
FOL
2021年12月18日(土)渋谷ユーロスペース公開、22年新春アップリンク吉祥寺他全国順次公開
©︎2021「逆光」FILM
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