CULTURE
クリープハイプの曲から生まれた『ちょっと思い出しただけ』
『ちょっと思い出しただけ』
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『ちょっと思い出しただけ』──すごく親しみを持てるタイトルですよね。人は、誰もが“今”を生きていますが、ふとした瞬間に、かつて好きだった人のことを思い出したりするものです。当時、聴いていた音楽、一緒に観た映画、その人が好きだったモノ、想い出の場所……そういった想い出の欠片が何かのきっかけで、ひらりと“今”の自分の前に現れると、当時の記憶が“ちょっとだけ”思い出される、そんな瞬間ありますよね。
「ああ、私にもそういう瞬間があったなぁ」と、過去の恋を思い出してセンチメンタルになれる映画──松居大悟監督による初の完全オリジナル“ラブ”ストーリーです。
この映画の特徴は、1年ずつ同じ日を遡っていく設定であることです。主人公・佐伯照生(池松壮亮)の誕生日から始まり、その1年前、さらに1年前……と、1年ずつ同じ日を遡り、別れてしまった男と女の“終わりから始まり”の6年間を描いていきます。
ラブストーリーは普遍的な題材であるからこそ、恋人たちにどんな試練を与えるのか、どうしたらドラマチックな展開になるのか、試行錯誤する。けれど、誰もが共感できる恋や愛であっても、視点を変えるととてもユニークなラブストーリーになる。とてもドラマチックなラブストーリーになる。
たとえば、同じ日だけで23年間の2人を描いた『ワン・デイ 23年のラブストーリ』があります。ほかにも、男の目線では出会いから別れまでを、女の目線では別れから出会いまでを描いた『ラスト5イヤーズ』や、ひと組のカップルの別れから再生までを男女それぞれの視点で2作品で描いた『ラブストーリーズ コナーの涙』『ラブストーリーズ エリナーの愛情』、スクリーンの画面を2分割にして男女の視点を映し出した『カンバセーションズ』など……。
『ちょっと思い出しただけ』の場合は、同じ日を遡ることで、照生と葉(伊藤沙莉)の日々を描いていきます。
また、この映画が生まれた経緯には映画好きにはたまらないエピソードがありました。ロックバンド、クリープハイプの尾崎世界観にとって、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』はオールタイムベストに挙がる映画だそうです。その映画に着想を得て、新曲「ナイトオンザプラネット」は生まれました。そして、クリープハイプのミュージックビデオを何本も手がけてきた松居監督が、その曲をもとに映画『ちょっと思い出しただけ』を生み出した。刺激を受けたその感動を別の形で繋いで紡いでいく、素敵な連鎖です。
ジム・ジャームッシュ監督作にあまり触れて来なかったという人は、この機会に、『ナイト・オン・ザ・プラネット』『パターソン』『ミステリー・トレイン』あたりを観てみると、ああ『ちょっと思い出しただけ』にはそういう繋がり(オマージュ)が込められていたのねと、発見があるはずです。
ジャームッシュへのオマージュ度 |
★★★★☆
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時間が遡る構成のユニーク度 |
★★★☆☆
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照生と葉の恋に共感してしまう度 |
★★★★☆
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監督・脚本
松居大悟
出演
池松壮亮 伊藤沙莉 ほか
制作・配給
東京テアトル
2022年2月11日(金・祝)全国公開
©︎2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会
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