CULTURE
北欧発のイノセントホラー『ハッチング―孵化―』
『ハッチング―孵化―』
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国によってイメージは色々ありますが、北欧にはどんなイメージを持っていますか? 北欧雑貨やインテリアは変わらず人気なので、お洒落なイメージを持っている人もいれば、少し前に発表になった2022年版の世界幸福度ランキングで、フィンランドは5年連続1位、幸せというキーワードを思い浮かべる人もいるでしょう。
今回ピックアップした『ハッチング―孵化―』は、フィンランドの映画です。意味深なタイトルなので、そこからすでに違和感といいますか、不穏さを感じるかもしれないですが……。はい、その感覚は間違っていなくて、お洒落、幸福というイメージからはちょっと想像がつかない映画で、ジャンル的にはホラーになります。
ホラーと言ってもかなり独創的で、ファンタジックで、純粋さもあって、怖いだけでは決してない。その恐怖は一体どこから生まれたのか? 私たちが生きる世界と地続きになっている問題提起もある。人間の闇の部分、痛みを表現しています。北欧らしさ全開のなかで、じわじわと観る者を侵食していくそのホラー感が、たまらなく面白いのです。惹きつけられるのです。
物語については敢えて触れません。もう、タイトルにある“孵化(=卵がかえること)”だけで十分だと思うので。ただ、主人公の少女が助けて孵化させた“それ”は、何を意味しているのか、その存在について深く考えてしまうと思いますが、この映画を楽しむコツは、スクリーンに映し出される“それ”を受け入れて観ること。そういうこともありえるかもしれない、という想像力のスイッチをオンにすること。これ大事です。
最後に、女性監督ハンナ・ベルイホルムの言葉も少し──「恐怖はとても大きな感情だし、ホラー映画では非常に映画的な方法でストーリーを語ることができる。キャラクターの中にあるもの、私たちの感情が何らかの形で外部に現れることもあるので、映画製作者にとってホラー映画を作ることはとてもエキサイティングなことなのよ」
たしかに、“それ”の姿に驚いてしまいますし、視覚としてのホラー感ももちろんありますが、監督の言葉にあるように、内なる感情が外部に現れる、その描写がホラーなのです。
記憶に残るホラー度 |
★★★★☆
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“それ”の造形度 |
★★★★☆
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監督の今後にも期待度 |
★★★★☆
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監督
ハンナ・ベルイホルム
出演
シーリ・ソラリンナ
ソフィア・ヘイッキラ
ヤニ・ヴォラネン
レイノ・ノルディン
配給
ギャガ
4月15日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他にて全国順次公開
© 2021 Silva Mysterium, Hobab, Film i Väst
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