CULTURE
この衝撃をどう受け止めたらいいのか?『ニューオーダー』
『ニューオーダー』
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こんな世界に行ってみたい、というユートピアを描いた映画もあれば、こんな世界では生きたくない、というディストピアを描いた映画もあって、『ニューオーダー』は後者、メキシコを舞台に社会秩序が崩壊していく様が描かれます。
ニューオーダー(new order)とは、政治・攻撃・作業などの新体制、新秩序。その言葉が示すとおり、社会の体制が変わる瞬間が映し出されます。
主人公のマリアンは、その日、多くの人たちに結婚を祝福され、人生最良の日になるはずでした。けれど、貧富の格差に対する抗議運動が暴動となり、結婚パーティーの宴は殺戮と略奪の地獄絵図と化すのです。
監督ミシェル・フランコはメキシコを牽引する俊英。この映画は“警告”だと言います。
「我々の暮らすメキシコに限らず、世界は極限状態に追い込まれている。まるで⽇々ディストピアに近づいているようにね。そしてパンデミックによって事態が更に悪化したことで、期せずしてこの作品は時代に即したものになってしまったんだ」
とは言っても、社会的不平等や経済格差によって暴動が起きる──日本で暮らしているとなかなかピントこないでしょうし、これは映画のなかの出来事でしょ……と思いたいのですが、何不自由なく生きてきたマリアンが巻き込まれる事態を目撃することで、自分にも降りかかるかもしれないことなのだと、怖くなる。決して他人事ではないのだと、怖くなる。溜まりに溜まった人々の怒りが沸点に到達したときに何が起きるのか、それをこの映画で知ってほしいのです。
おそらく、想像以上にショッキングです、信じられないほどショッキングです。賛否が問われる作品ですが、考えるきっかけになると思うのです。
覚悟が必要度 |
★★★★☆
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考える度 |
★★★★☆
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ショッキング度 |
★★★★★
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原題
NUEVO ORDEN
監督・脚本
ミシェル・フランコ
出演
ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド
ディエゴ・ボネータ
モニカ・デル・カルメン
配給
クロックワークス/PG12
6月4日(土) 全国ロードショー
©️2022 Lo que algunos soñaron S.A. de C.V., Les Films d’Ici
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