CULTURE
2014.10.03
『FRANK -フランク-』
コメディかと思ったら意外とシュールで感動的! |
監督 |
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カワイイのか不気味なのか、捉え方によっては人それぞれの張りぼてマスクをかぶっているフランクが主人公。まずは、このキャラクターに興味をもつかどうかがこの映画を気に入るかどうかの分かれ道。しかも、フランクは正体不明のカリスマ・ミュージシャン。彼を中心にしたバンドの話であり、音楽はアヴァンギャルドでイカれたオルタナティブ・ミュージック。マスクと音楽、これらの設定に興味を持った人、好きだなと思った人だけが楽しめる映画なのか? と思ったらそれはちょっと違って……。 ミュージシャンになることを夢見ているイギリス人青年ジョン(ドーナル・グリーソン)が、ひょんな出会いでバンドのキーボード奏者としてインディー・バンド「ソロンフォルブス」のライブに参加。その後、縁あってバンドの一員として参加することから物語は始まる。描かれるのは、無名のバンドをどうやったら有名にできるのかを試行錯誤する新入りのジョンを通して、バンドの成功とは何なのか、「ソロンフォルブス」らしさとは何なのか、そもそも自分らしさとは何なのか──という誰もが共感するであろう心の揺れ動き。張りぼてマスクをかぶったフランクが違和感なくメンバーの中心にいるのはどう見ても不思議ではあるけれど、いつの間にか違和感が薄れていくのがまた不思議。 けれど、人は知らないことに興味を持つ生き物でもあって。フランクはなぜマスクをかぶっているのか? 素顔はどんななのか? ジョンの興味が徐々に膨らみ、物語を思わぬ方向へ動かしていくという展開がストーリーをより面白くする。しかも、フランクを演じているのは今年1月に「世界で最も美しい顔100人」の男性部門第1位に選ばれているマイケル・ファスベンダー。美しい顔をマスクで覆ってしまうというのは何とももったいないけれど、それもユニークな発想だ。彼の顔が最終的に明かされるのか明かされないのか……は、映画を観てのお楽しみということで。
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text rie shintani