CULTURE
2014.11.11
『天才スピヴェット』
『アメリ』の監督の素晴らしき想像力の世界へ! |
監督 |
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『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督の最新作! しかも3D! もう、ストーリーも映像もぎゅうって抱きしめたくなるくらい愛おしい映画です。 3D映画といってもさまざまで、まるで自分もその場にいるような臨場感を体験できたり、実際には行けない場所に行けたり、そういう3Dももちろんワクワクさせてくれますが、この『天才スピヴェット』がそれらとちょっと違うのは、スピヴェットの想像を3Dとして描いていること。というのも、ジュネ監督はライフ・ラーセンの原作小説「T・S・スピヴェット君傑作集」の余白に添えられている地図やスケッチ、人物画などの小さな画をスクリーンに漂わせたくて3Dに挑戦。そのこだわり方は半端ないんです。絵本のようでもあり、スピヴェットの頭の中を覗いているようでもあり、何とも言えない可愛さ! ストーリーも泣かせてくれます。10才にして天才科学者のスピヴェット(カイル・キャトレット)には双子の弟がいましたが、事故で死んでしまい、それからというもの家族の心にぽっかり穴があいてしまうんです。そんなとき、スピヴェットの発明品が権威ある賞を受賞。10才ながらいろいろ考えて、考えて、受賞式に出るためにモンタナ州からワシントンD.C.へひとり旅をします。言ってみれば大きな家出のようなもの。その旅の途中でいろんな人と出会い、いろんな経験をして、家族と離ればなれになることで自分にとって家族がどれだけ大切なのかを知っていく。ラストのスピーチは号泣です。 大切な宝物としてずっと心にしまっておきたい、そんな温かくて可愛いい映画、ぜひ3Dで!
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▼ジャン=ピエール・ジュネ監督&子役のカイル・キャトレットに 直撃インタビュー! —ヴィヴィッドな映像にアップテンポなストーリー展開が賑やかでポップな作品ですね! こういった世界観のインスピレーションは、ずばり、どこからゲットしていますか? ジュネ監督「ポップって褒め言葉なのかな?(笑)自分の映画作りにおいて、ポップであることを気にしたことはないよ。 この作品は一概にポップとは言えない、もっと普遍的なものだと思ってるんだ。」 —例えば、この作品にはどんなキーワードが当てはまりますか? ジュネ監督「この映画を見て、時代背景が“現代”だと思う人もいれば、まさに“ウェスタン”だと思う人もいる。無駄なテクノロジーが登場していないから、そう見えるかもしれない。だけど今でも、この家族のような暮らしをしている人はいるんだ。そういった意味では、ポップではないと思う。」 —原作『T・S・スピヴェット君傑作集』を映画化しようと思ったキッカケは? ジュネ監督「原作者とは感覚的に似ている部分があったんだけど、僕はもともと家族というもののファンではないんだ。けれど、この作品に登場する家族はとてもエキセントリックで、その特別な家族の物語という点に魅かれたのかもしれない。すごく普通の家族の物語は、僕向きじゃないからね。風変わりなキャラクター達だったからこそ、描けたのかもしれない。」 —そんなひと味違った家族を描くにあたって、こだわった点は? ジュネ監督「今までの作品では、エモーションと独特な距離感があったと思うんだけど、より登場人物のエモーショナルな部分を引き出していったよ。それから3D映画にも今回初めてチャレンジしたんだ。新しい技術だから、みんなで試行錯誤して学びながら製作していったよ。」 —武術では世界トップ、更に6カ国語話者と何でも完璧にこなしちゃうカイル君だけど、初めての長編映画に出演して難しく感じたことはあった? カイル君「なかったよ。何もかもが楽しくて面白くて、ジュネ監督と仕事できて嬉しかった!」 ジュネ監督「でも駅のシーンが寒くて大変じゃなかったかい?」 カイル君「寒かっただけで、全然大変じゃなかったよ。」 ジュネ監督「こんな感じで彼は一切嫌な顔は見せなかったし、いつも情熱を持って演技に臨んでくれていたよ。」 —カイル君のそういった明るくてひた向きな姿に魅かれたの? ジュネ監督「もちろん、キャスティングまで何度もテストしたさ。長編映画でヒロインを飾る子役を、信頼できないと映画製作は出来ない。でも子役って不思議で、いつもその期待を裏切らずにいてくれるんだ。彼もそうだったよ。」 —それでは、この作品を通して2人の絆はいっそう深まった? カイル君「うん!」 ジュネ監督「(首をかしげて笑う)」 —日本のガールズを虜にした映画『アメリ』を含め、ジュネ監督の作品は、ポップでシュールで、ヴィヴィットなNYLON JAPANの世界観と通じるものがあると感じました。是非、最新号を手に取ってひと言下さい! ジュネ監督「(母国の)フランスに戻ったら、この雑誌を掲げて『僕はポップと言われているんだ』と自慢して回りたい気分だね!」 ジュネ監督、カイル君、ありがとうございました!! |
text : rie shintani