CULTURE
2015.02.13
『味園ユニバース』
いろんな“すごーい!”が詰まった青春映画 |
監督 |
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タイトルになっている“味園”とは、大阪に実在するビルの名前で、“ユニバース”とはそのビルのなかに作られた老舗の豪華キャバレーのこと。この映画はその味園ユニバースを舞台に、記憶を失った男と時間が止まっていた女が“音楽”を通して生きようとしていく物語だ。 物語の中心にいるのは、関ジャニ∞のメインボーカルとして活躍する渋谷すばると若手実力派女優として次々と映画に出演する二階堂ふみ。ある日、カスミ(二階堂)がマネージャーをつとめるバンド「赤犬」のライブ会場にいきなり現れて歌をうたい、歌いきったあとに記憶を失った男(渋谷)。なぜかその男のことを放っておけなかったカスミは男を連れて帰り、記憶のない彼に“ポチ男”と名付け共同生活が始まる。そして、ポチ男が現れたことでバンドに新しい風が吹き……。 記憶を失ってはいるものの、なぜか歌だけはしっかりと覚えているポチ男。歌うごとに少しずつ記憶が戻り、音楽によって物語がすすんでいくテンポのよさが心地いい。そして何と言っても渋谷すばるの歌声と力強い目がいい、すごくいい。二階堂ふみの演技力は言わずと知れているので敢えて言わないけれど、渋谷すばるってこんなに演技がうまかったのか! こんなに歌唱力があったのか! と、とにかく驚く。“味園ユニバース”というちょっぴりヘンテコなタイトルの裏には、なかなかどうして面白い世界が待っていた。一見、映画ツウが観る映画っぽい印象があるけれど、分かりやすくて、パンチがあって、謎とユーモアもあって、かなり面白い! これ、見ないと損です。
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text : rie shintani