CULTURE
2015.07.24
『人生スイッチ』
不運の連続なのに笑っちゃう! 衝撃のアルゼンチン映画 |
監督・脚本 |
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「人生」「スイッチ」──タイトルからはポジティブな感じというか、人生には転機になるスイッチ=チャンスがあるっぽい雰囲気を醸し出していますが、蓋を空けてみるとまあ、びっくり! このスイッチの意味は決して入れてはいけないスイッチのことだと気づきます。不満や怒りなど負の感情を溜め込んでしまったがゆえに、ある瞬間ブチッと切れてしまう。不満や怒りを吐き出すスイッチを押してしまうということなんですね。たしかに原題は「WILD TALES」なので、狂気な物語であることは想像がつきます。 この映画が面白いのは、つい押してしまった不満や怒りの心のスイッチが、止めようのない不運の連鎖になっていくことです。1話「おかえし」、2話「おもてなし」、3話「エンスト」、4話「ヒーローになるために」、5話「愚息」、6話「HAPPY WEDDING」の6つのストーリーが展開。どれも「えっ、そういう結末!?」と意表を突かれるオチが待っています。救いようのないオチもあれば希望が見えそうなオチもあってさまざまですが、強烈であることは共通。こんなはずじゃなかったのに! こんな悲劇になるなんて! ブラックすぎるユーモアにただただ唖然です。 さらに凄いのは、本国のアルゼンチンでは『アナと雪の女王』の2倍以上の動員で歴代興収No.1の大ヒットを記録しているだけでなく、アルゼンチンのアカデミー賞で最多10部門受賞、米アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品など世界でも話題であること。ほんと、笑えるほどの転落劇にびっくりします。恐るべし、アルゼンチン映画!
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text rie shintani