CULTURE
2015.09.04
『EDEN/エデン』
90年代のパリの音楽シーンに酔う青春映画 | |||||||
どうしてミュージシャンの人生はこんなにもドラマチックなんだろう──。音楽に魅せられ、夢を追いかけ、恋をして、成功を手にして、そして挫折を味わう……“夢と成功と挫折”というキーワードは決して珍しくはないテーマですが、その舞台が音楽の世界、ミュージシャンの世界となるととてもドラマチックに見えてしまう。『EDEN/エデン』もそんな不思議な魅力を持った青春音楽映画です。 物語の舞台はエレクトロ・ミュージックが台頭する1990年代のフランス。大学生のポール(フェリックス・ド・ジヴリ)は親友と一緒に“Cheers”を結成しDJ活動をはじめ、パリのクラブの中心的人物となっていきます。けれど、楽しくて刺激的で輝かしい時間は長くは続かず、新しい音楽の波に吞み込まれ、最前線にいたはずがいつの間にかクラブシーンから遠のいていく──1992年から2013年までのポールの人生を描いていきます。 よくあるテーマでありつつもこの映画が特別なのは、監督のミア・ハンセン=ラヴが“世界で注目すべき映画監督”のトップテン(映画誌Variety)に選出されていること。映画の主人公ポールのモデルは実兄であるスヴェン・ハンセン=ラヴであること。兄を通じて実際に見聞きしてきたものを描いているからこそリアル! まるで自分自身もポールと一緒に20年間を生きてきたかのような感覚になります。音楽の魅力に酔いしれる131分です。
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監督・脚本 ミア・ハンセン=ラヴ 共同脚本 スヴェン・ハンセン=ラヴ 撮影 ドニ・ルノワール 製作 シャルル・ジリベール 出演 フェリックス・ド・ジヴリ ポーリーヌ・エチエンヌ ヴァンサン・マケーニュ 提供・配給・宣伝 ミモザフィルムズ 9月5日より新宿シネマカリテほか 全国順次ロードショー © 2014 CG CINEMA – FRANCE 2 CINEMA – BLUE FILM PROD – YUNDAL |
text rie shintani