CULTURE
2016.03.28
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
岩井俊二監督が投げかける嘘と希望と愛 | |||||||
いろんなことがネットで繋がって、友だちとの連絡も情報収集もネットが当たり前。彼氏や結婚相手をSNSで見つけることも特別なことじゃなくなってきた──そんなネット依存的な現代の人間関係を岩井俊二監督が切り取るとどうなるのか?『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、ごく普通に、人並みに生きてきたひとりの女性がネットで知り合った男性と結婚することをきっかけに、出会うはずのなかった人と出会い、自分らしく生きていこうとする物語。 派遣教員として働く七海(黒木華)はSNSで見つけた彼氏と結婚を控えているが、式に出席してくれる友人が少ないことから何でも屋の安室(綾野剛)にある依頼をする。それは親戚や友人として結婚式に出席してもらう代理出席サービスだった。けれど、あっけなく手に入った幸せは、あっけなくその手からこぼれ落ちてしまう。そして再び安室の助けを借り、七海は真白(Cocco)という個性的な女優と一緒に住み込みのメイドのバイトを始めることにする。 現実と嘘、幸せと偽り、裏切りと真実が絡み合い、そんなことありえなさそうだけど、ありえるかもしれない……と、いつの間にかさまざまな事件や問題にぶつかりながら成長していく七海と同じ目線に立ち、映画の世界に迷い込んで生きているような感覚に。何度でも迷い込みたくなるその感覚は、切ないけれど美しくて、そして希望に満ちていて、自分自身がいま抱えている問いの答えが見つかりそうな気がする、そんな映画だ。
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監督・原作・脚本 岩井俊二 出演 黒木華 綾野剛 Cocco 原日出子 地曵豪 配給 東映 【2016年/日本/180分】 2016年3月26日(土)より 全国ロードショー ©RVWフィルムパートナーズ |
text rie shintani