CULTURE
2016.04.08
『ルーム ROOM』
当たり前の景色が特別な景色になる、という感動 | |||||||
密室劇のように手法として“ひとつの部屋”のなかで起きることを描く映画はあるけれど、何か理由があって“ひとつの部屋”だけで生きている人がいたとしたら──。本年度アカデミー賞で、みごとブリー・ラーソンが主演女優賞に輝いた映画『ルーム ROOM』は、そんなことって実際にあり得る!? でもあり得るかもしれない……と驚かずにはいられない物語、母の愛と息子の勇気に感動せずにはいられない物語だ。 ママのジョイ(ブリー・ラーソン)と息子のジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は親子2人で仲良く暮らしている。天窓がたったひとつだけある小さな部屋で……。ジョイは7年間監禁され続け、5歳のジャックはそこで生まれ、彼にとっては小さな部屋が世界のすべて。息子に外に広がる本当の世界を見せてあげたい、大きな世界があると教えてあげたい。ジョイは、いろんなことを理解できる年齢になったジャックと一緒に脱出計画を練るけれど……。 ジョイとジャックの脱出計画はアクション映画以上にハラハラドキドキさせられ、さらに脱出後に2人を待っている現実の厳しさに胸が締めつけられる。生きていくことは簡単じゃない、でも生きているから希望を持てる、乗り越えられる。そして、ジャックの目線で大きな世界を見ることで、それまで当たり前だった景色が特別なものに見えてくる。親子の愛と勇気に感動するだけでなく、生きていることを実感させてくれる映画だ。
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監督 レニー・アブラハムソン 脚本・原作 エマ・ドナヒュー 出演 ブリー・ラーソン ジェイコブ・トレンブレイ ジョアン・アレン ショーン・ブリジャース トム・マッカムス ウィリアム・H・メイシー 提供 パルコ ハピネット シンカ 提供 カルチュア・パブリッシャーズ ギャガ 配給 ギャガ 【2015/アイルランド・カナダ/118分】 4月8日(金)よりTOHOシネマズ新宿、TOHOシネマズシャンテ他全国公開 ©Element Pictures / Room Productions Inc / Channel Four Television Corporation 2015 |
text rie shintani