CULTURE
2016.05.13
『ファブリックの女王』
あのマリメッコはこうやって生まれた! | |||||||
日本でも人気のフィンランドのファッションブランド〈マリメッコ〉。今年65周年を迎えるマリメッコはどうやって生まれ、どうやってあのスタイルを確立したのか──創業者であるアルミ・ラティアの半生を描いた物語です。 ユニークなのは描き方。この手の題材は、実際の映像や主人公のアルミに関わる人の証言を交えてドキュメンタリーが定番ですが、この『ファブリックの女王』の場合は、アルミを主人公にした舞台劇。舞台でアルミの人生をふり返るとともに、アルミを演じる女優マリア(ミンナ・ハープキュラ)と演出家が“アルミはどんな人物だったのか”を語り合う舞台裏も描くことで、より深い人間ドラマになっています。 それはアルミという女性の決して穏やかではない人生──マリメッコを支える仕事仲間を大切にするあまり、仕事にのめり込むあまり家族は離れ、家族に理解されない寂しさや経営者としての苦悩をアルコールや恋で埋めようとする負の連鎖。あのマリメッコの素敵なデザインの背景にこんなことが!? と驚くはずです。 いまでこそカラフルなデザインのファブリックもそれで作られた洋服も身近なものですが、それが生み出された瞬間はどれだけ斬新だったのかがこの映画から伝わってきます。また、監督のヨールン・ドンネルはマリメッコの初期の役員だったこともあり、舞台劇であってもそこで描かれるものは本物のアルミ像に近い。だからリアリティがある。伝記でもないドキュメンタリーでもないこの1本の映画でマリメッコとは何なのかがよく分かる。新しい表現方法も見どころです。
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監督 ヨールン・ドンネル 製作 ミーシャ・ヤーリ マーク・ルオフ 脚本 カロリーナ・リンドグレーン 出演 ミンナ・ハープキュラ ラウラ・ビルン ハンヌ=ペッカ・ビョルクマン レア・マウラネン ロベルト・エンケル 2016年5月14日(土)より ヒューマントラストシネマ有楽町・渋谷ほか全国順次公開! ©Bufo Ltd 2015 |
text rie shintani