CULTURE
2016.09.14
『グッバイ、サマー』
あの世界感の原点はミシェル・ゴンドリー自身の青春時代! | |||||||
ミシェル・ゴンドリー監督作と言えば──記憶を消す手術ができたら? という“もしも”を描いたラブストーリー『エターナル・サンシャイン』、片想いの彼女と夢の中で恋愛をする『恋愛睡眠のすすめ』、いろんな映画をリメイクするDIY感満載の『僕らのミライへ逆回転』など、どの作品も他とはちょっと違って、どのジャンルにも当てはまらなくって、ものすごく個性があって、映画を観ている約2時間、観客は“ミシェル・ゴンドリー的世界”で気持ちよく迷子にさせてくれる、酔わせてくれる。 そんな独特の世界感は一体どうやって生まれるのか? その答えとなるのが新作の『グッバイ、サマー』。14歳の少年ダニエルとテオが、“動くログハウス=(車)”で旅をするひと夏のロードムービー。それはミシェル・ゴンドリー自身が10代の頃に抱いていた夢や経験、親友のこと、片想いの女の子のこと……いくつもの思い出が組み合わさっている自伝的青春映画。まさに彼の原点だ。 クラスメイトのなかで浮いた存在の2人が試行錯誤しながら手作りの車を作っていく作業は、まるでアート作品を作っているかのようで見ているだけでワクワク感が伝わってくる。そして、ひと夏の旅を経て、一生の思い出となる旅を経て、彼らが向きあわなければならない現実──ワクワクのあとにしっかりと余韻がある、祭りのあとのような感覚はこの季節にぴったりの映画だ。
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監督・脚本 ミシェル・ゴンドリー 出演 アンジュ・ダルジャン テオフィル・バケ オドレイ・トトゥ 提供 シネマライズ+トランスフォーマー 配給 トランスフォーマー 宣伝 ミラクルヴォイス 【2015年/フランス/104分/DCP】 9月10日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテほか全国順次公開中! ©Partizan Films- Studiocanal 2015 |
TEXT RIE SHINTANI