CULTURE
2016.12.02
『アズミ・ハルコは行方不明』
どの年代の女性にも突き刺さる、蒼井優主演の青春映画 | |||||||
映画の主人公が自分と同じ年齢だったり同じ境遇だったりすると、自然と主人公に自分を重ね合わせて共感してしまうものです。この『アズミ・ハルコは行方不明』には、主人公の安曇春子を中心にアラサー、ハタチ、女子高生、三世代の女性たちが登場。いずれも揺れ動く年齢であり、その年齢ならではの悩みがあり、自分の年齢に近いキャラクターに何かしら共感を覚えるはずです。 春子(蒼井優)はなぜ行方不明になっているのかが物語のベースとなっていますが、ミステリーかというとそうではなく、会社ではセクハラ三昧の言葉を浴び、家では老齢の祖母を介護する母のストレスを浴びて生きている27歳“春子”の足掻き。自分が何をしたいのかどうしたいのか迷い中の20歳“愛菜(高畑充希)”の足掻きなど、先に挙げたそれぞれの年代の女性たちの日常、日常で抱えている感情、日常の足掻きを描いています。 ある理由で行方不明になり、“この人知りませんか?”の張り紙がひょんなことからグラフィック・アートになっていく、その映像はとてもポップですが、ポップさにつられて入り込んだ先にあるギャップにやられてしまうというか。ポップな映像だけど内容はリアルで毒々しくて痛々しくて……そして春子がどうして行方不明なのか、その理由を知ったときに感じる妙な腑に落ち感もいいんです。
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監督 松居大悟 原作 山内マリコ 脚本 瀬戸山美咲 出演 蒼井優 高畑充希 太賀 葉山奨之 石崎ひゅーい 配給 ファントム・フィルム 12/3(土)より、新宿武蔵野館ほかロードショー ©2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会 |
TEXT RIE SHINTANI