CULTURE
2017.01.06
『ストーンウォール』
自由を求め戦った若者たちの青春と愛と人生 | |||||||
LGBTがレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭字語であることは一般的に知られるようになったが、ネット普及前はたまたま観た映画がきっかけでLGBTを知ることもあった。たとえば(個人的きっかけだが)リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーブス見たさに観た『マイ・プライベート・アイダホ』ではゲイについて、ヒラリー・スワンクがアカデミー賞主演女優賞に輝き観てみようと思った『ボーイズ・ドント・クライ』ではトランスジェンダーについてを知るきっかけになったが、どちらも青春・恋愛・人生──生き方を描いた素晴らしい人間ドラマでもあった。 ファッション界を舞台にした作品で言えば『イヴ・サンローラン』やトム・フォードが監督デビューを飾った『シングルマン』などを観ている人も多いだろう。また2016年は『リリーのすべて』『キャロル』『ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気』などがLGBTをテーマに盛り込んだ映画として話題になり、今回ピックアップした『ストーンウォール』も同テーマだ。現在のセクシュアル・マイノリティーの社会運動の原点となった1969年の暴動“ストーンウォールの反乱”をベースにした物語であり、その事件がどういうものだったのかはもちろん、やはりこの映画も青春・恋愛・人生を描いていて感動させられる。 監督は『インデペンデンス・デイ』で知られるローランド・エメリッヒ。この映画を撮るきっかけを「自分自身がゲイだから、すべての疑問に自分が答えられると思ったからだ。自分の人生にも繋がることであり、実際にキャストの一部もゲイ。私たちは今も結婚する権利などを得るために闘い続けている」と語るようにリアリティーも特徴のひとつ。事実に映画としてのフィクションを加えているが、こういう歴史があったのだと、この映画もまた多くのことを教えてくれる。主演のジェレミー・アーヴァインをはじめ、過去にヴェルサーチの広告モデルをつとめたジョナサン・リース・マイヤーズ、次世代ハリウッドスターとして注目のケレイブ・ランドリー・ジョーンズなどキャスティングも魅力的だ。
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監督・製作 ローランド・エメリッヒ 製作 マーク・フライドマン マイケル・フォッサ 脚本 ジョン・ロビン・ベイツ 出演 ジェレミー・アーヴァイン ジョナサン・リース・マイヤーズ ジョニー・ボーシャン カール・グルスマン ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ジョーイ・キング ロン・パールマン 配給 アット エンタテインメント 【2015/アメリカ/129分/PG12】 新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか公開中 © 2015 STONEWALL USA PRODUCTIONS, LLC |
TEXT RIE SHINTANI