CULTURE
2017.02.17
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』
分解と破壊の先にある人生の再生とは? | |||||||
「僕は幸せを表現したかったわけじゃない。人生はつらく、暗いものだ。僕は美しさを表現したかった」──これは『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』のジャン=マルク・ヴァレ監督がオフィシャルインタビューで語っているなかの1文だ。 監督のその言葉とおり、この映画の主人公デイヴィス(ジェイク・ギレンホール)の人生は、つらく暗い。というのも、デイヴィスはある日突然に交通事故で妻を亡くすのだけれど、愛しているはずの妻が死んでも悲しみがない、涙も流れない、本当に妻を愛していたのだろうか……と自分が無感覚になっていることに気づく。そして自分を取り戻すために、自分の心と向きあうために、周りのあらゆるものを分解し、破壊する。 デイヴィスの行動は一見、突飛に見えるかもしれないが、周りを“ぶち壊す”ことでしか感情を取り戻せないとしたら、それは彼にとって必要不可欠なこと。その先には、苦しみと向きあった者がたどりつく場所がとても美しく描かれている。美しさとは、おそらく目に見える美しさではなく心で感じる美しさであり、それをみごとに表現してみせたジェイク・ギレンホールに驚かされるだろう。すごい俳優だ。またタイトルの意味は、後半に登場する青いメモにヒントが隠されている。
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監督・脚本 ジャン=マルク・バレ 製作 リアンヌ・ハルフォン ラッセル・スミス モリー・スミス トレント・ラッキンビル 出演 ジェイク・ギレンホール ナオミ・ワッツ クリス・クーパー ジュダ・ルイス 配給 ファントム・フィルム 2017年2月18日(土)より、新宿シネマカリテ他全国公開! ©2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, Demolition Movie, LLC and TSG Entertainment Finance LLC. All Rights Reserved. |
TEXT RIE SHINTANI