CULTURE
美しくて愛しい、ジム・ジャームッシュの詩的世界『パターソン』
『パターソン』
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ジム・ジャームッシュ監督の4年ぶりの最新作『パターソン』は、観る前よりも観た後の日常が美しく見える、愛しく思える、幸せな気づきを与えてくれる映画だ。監督の言葉──“『パターソン』はディテールやバリエーション、日々のやりとりに内在する詩を賛美し、ダークでやたらとドラマチックな映画、あるいはアクション志向の作品に対する一種の解毒剤となることを意図している。本作品は、ただ過ぎ去っていくのを眺める映画である”──この言葉からも分かるように、パターソンという名の男の7日間の日常を淡々と映し出していく。それがとても美しい。
パターソン(アダム・ドライバー)は、ニュージャージー州パターソン市でバスの運転手をしている。朝起きて、妻にキスをして、バスを走らせて、休憩時間に詩を書いて、仕事を終えると真っ直ぐに帰宅。夕食後、愛犬の散歩がてらバーで1杯ビールを飲む。毎日それを繰り返している。大きな事件も驚くような出来事もないけれど、同じようで同じじゃない。単調に見えるけれど単調じゃない。たとえば、自然と耳に入ってくるバスの乗客たちの会話をどう捉えるかによって、その日の景色はどんな色にもなるように、日常のなかにある小さな幸せを感じられるかどうかが描かれる。とても繊細だ。
パターソンがノートに綴る詩もいい。そもそもこの映画のアイデアは、二十数年前にウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩集を手にしたジャームッシュ監督がパターソン市を実際に訪れたことから生まれた。大学時代にはあらゆるタイプの詩を読み、自分でも詩を書き、ときどき発表していたそう。彼自身も詩人だ。ジャームッシュ作品の多くが、どこか詩的だと感じるのはそういう理由なのかもしれない。また、『ミステリー・トレイン』以来、27年ぶりに出演する永瀬正敏の演じる“日本の詩人”とパターソンの会話は特に詩的でユニーク、優しさに満ちている。
優しさ度 |
★★★★☆ |
穏やか度 |
★★★★☆ |
センス度 |
★★★★★ |
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監督・脚本
ジム・ジャームッシュ
製作
ジョシュア・アストラカン
カーター・ローガン
製作総指揮
ロン・ボスマン
出演
アダム・ドライバー
ゴルシフテ・ファラハニ
永瀬正敏
バリー・シャバカ・ヘンリー
クリフ・スミス
チャステン・ハーモン
ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
提供
バップ
ロングライド
配給
ロングライド
2017年8月26日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町/ヒューマントラストシネマ渋谷/新宿武蔵野館ほか全国順次公開
Photo by MARY CYBULSKI ©2016 Inkjet Inc. All Lights Reserved.
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