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CULTURE

2024.11.28

来日直前! ジャズ、R&B、ゴスペル、HIP HOPを横断する鬼才ジュリアス・ロドリゲスの緊急インタビュー

大人気ジャズ漫画『BLUE GIANT MOMENTUM』の作中楽曲「MOMENTUM」の演奏を担当したことでも注目を集めるNY出身のマルチ奏者&作曲家、ジュリアス・ロドリゲスが自身のバンドを率いて来週ついに来日! それに先駆けNYLONではスペシャルなインタビューを敢行。

Q.あなたのこれまでの歩みを辿っていきながら、あなたがどのように音楽と出会っていくのかをお伺いできればと思っています。まず、初めて音楽に触れたときのことを教えてください。

父と母が教会の仕事に携わっていたこともあり、幼い頃から教会に通っていました。毎週のように、ミュージシャンたちが演奏をするのを近くで見て、僕も演奏してみたいと思ったんです。教会から自宅に帰ると、家にあるおもちゃや鍋を楽器に見立てて、演奏ごっこをして遊んでいました。ここから僕の音楽への道が開かれていったのかなと思います。

Q.教会という場所は、あなたの音楽観にどのような影響を与えましたか?

私の全てと言っても過言ではありません。アフリカン・アメリカンのブラックチャーチには、讃美歌などの伝統的なものからコンテンポラリーな音楽まで、幅広く演奏する教会があります。そのどちらからも、音を伝えるという面で影響を受けましたね。私が通っていた教会は、基本的に譜面を読むことをしませんでした。それこそ、合唱もソプラノ、アルト、テノールと、パートがあるものも、耳で音を聞いて覚えていくんです。演奏する曲を家で事前に聴いてからリハーサルへ行っても、違うキーに変更することもあって、その場ですぐに演奏する即興性が求められました。他にも、ドラムのチューニングの仕方、演奏方法、オルガンやピアノの音の入れ方など、ひとつの曲がどのようにアレンジされていくかも、教会で習得したことです。音楽との向き合い方、演奏の仕方、また、それらを人に教えるということを、学んだ場所ですね。

Q.あなたの音楽的な軸は、教会で築かれたのですね。

そうですね。あともうひとつ重要な点を付け加えさせてください。日々、教会では色んなミサが行われています。スピリチュアリティを高めていくためのひとつの手段として、音楽があるのですが、それぞれのミサによって、音の違いがあるんです。例えば、神へ祈りを捧げるとき、何かをお供えするとき、牧師が説教をするとき、行進するときなど、それぞれのシーンによって、音楽の役割が変わっていくことを理解した場所でもあります。

Q.ジャズと出会ったのはいつ頃ですか?

父がジャズを好きだったこともあり、自宅にはCDがたくさんありました。なので、自然と耳にしていたものの、それがジャズだということを意識したのは、6〜7歳のころ。通っていた小学校に、トーゴ出身のジョン・セナクワンという先生がいたのですが、ピアノや歌を教えてくれるだけでなく、その背景にある文化についてまで、幅広い視点で物事を教えてくれる人でした。そんな先生が授業で、デューク・エリントンの『A列車で行こう』を教えてくれたんです。音を耳にした瞬間、きっと父も好きな曲だろうなと、家に帰ってそのことを話したら、「オリジナルはこれだよ」と、CDを聴かせてもらいました。そこから、ジャズにどんどんとのめり込んでいくようになりましたね。私はインターネットエイジの申し子みたいな世代なので、YouTubeで検索すればいくらでも情報や、音源が出てくる時代。ルイ・アームストロングや、ジョン・コルトレーンなど、ジャズレジェンドたちの音を、ネットを駆使して、聴くようになりました。

Q.いち表現者として進んで行こうと思ったターニングポイントなどはありますか?

私にとって、音楽は言葉を話すような感覚です。なので、なにか分岐点や、きっかけがあったというよりは、音楽を表現することが当たり前のものとして存在していて、ずっと一緒に歩んできたという感じなんですよね。

Q.ミュージシャンとして、ピアノだけでなく、ドラムなどの他の楽器も演奏されています。ひとつの楽器に特定しないスタイルは、どのように築かれていったのでしょうか?

実は、一番最初に演奏した楽器はドラムなんです。昔から興味や好奇心が旺盛なタイプだったこともありますし、教会の音楽スタイルも影響していると思います。あと、自宅にもドラムセットや、ベース、ギターなどがあって、触れる機会が多くありました。ピアノを弾くようになったのは、父の知り合いに勧められたのがきっかけ。オードリー・マッキャノン先生という、アフリカン・アメリカンの女性で、ピーボディ音楽院を初めて卒業した方からレッスンを受けていたのですが、「あなたが、本当に音楽を勉強したかったら、まずはピアノをきちんと学ぶべき。ピアノで音楽論を学べば、その後なんでもできるから」と、私をピアノへと導いてくれました。子どものころは友人と遊ぶよりも、ラジオから流れる曲をピアノで弾くのが好きな子で、ひたすら鍵盤を叩いていましたね。

Q.そういう背景から、あなたは若かりし頃からプロのシーンで活躍していくようになりましたが、ジュリアード音楽院へ入学します。あなたにとって学校はどんな場所でしたか?

ジュリアードで過ごしていた時期は、自分にとってとても興味深い時間でした。私はニューヨークの出身で、すでに音楽のシーンでプロのギグみたいなことをやっていたので、通っているうちにジュリアードの考える学生像とは少しズレが生じてきたんです。最終的には辞めてしまったのですが、学校の環境や教師陣はとても素晴らしかったですし、ミュージシャンの友人たちにも恵まれました。

Q.ちょうどこの時期に、あなたはオニキス・コレクティブと、エイサップ・ロッキーのツアーに帯同していましたよね。両者との出会いが、今のあなたの強みでもある、ジャンルを超えた表現に繋がっていくのかなと思うのですが、彼らとの出会いは、あなたにどんな影響を与えましたか?

オニキス・コレクティブのアイザイアや、オースティンとの出会いは、2011〜2012年ころ。ミンガス・フェスティバルというコンテストがきっかけです。彼らは私よりも少し歳上なのですが、当時自分が若すぎてできなかったことを、彼らがどんどん成し遂げていました。例えば、ラジオ局で番組をやっていたり、シュプリームなどのアパレル企業とタッグを組んだり。音楽だけにとどまらず、映画、ファッション、スケートボードと、ニューヨークのヒップなカルチャーシーンの中心に彼らがいて、今みんなが一番観たい、聴きたいと思うことを、音楽を超えたところで届けてくれました。常に壁を壊し続けてくれる存在だったんです。そんな彼らと、自分がわずかながらでも関われたことや、彼らの中で役割を持てたことは、とても光栄なことでした。これから自分はどんな音楽を表現をするか、今後の自分の人生をどうするか、そんなことを考えたときに、ものすごく影響を与えてくれた人物です。

Q.その後、デビューアルバムとなる『Let Sound Tell All』をリリースします。トラディショナルなジャズでありながら、あなたのこれまでの音楽的な経験やルーツが染み渡る、デビューアルバムらしいフレッシュな一枚だなと感じています。この一枚を作るうえで、大切にしたことや、こだわりを教えてください。

このアルバムは、私がニューヨークでバンドとライブをやっていく中で、演奏している曲やアレンジがまとまってきたので、それを一枚にしたいというところから制作がスタートしました。ただ、私がどうしても完璧を求めるがばかりに、何度も繰り返しレコーディングをしていたら、そのうちパンデミックになってしまったんです。そんな紆余曲折があり、今あるものだけでアルバムを作っていくことになりました。プロデューサーのDrew Of The Drewと相談しながら、ライブの即興的な演奏以上のものを作るには、どのようなサウンドスケープを作っていくのがベストなのかを突き詰めた一枚です。この考えは、『エヴァーグリーン』の下地にもなりました。

Q.今作『エヴァーグリーン』についても教えてください。前作と比べて、とても実験的な音になったのかなと思います。そんな内容に比べて、タイトルやジャケットが、王道なジャズらしいムードがあるなと思いました。アートワークに関して、どのようなことを意識したのでしょうか?

音楽以外の人とコラボレーションするときは、あらかじめ何かを指示することはありません。私の作品を聴いてもらって、素直に感じたことや、思い浮かべたことを表現として落とし込んで欲しいとお願いするタイプなんです。今回のアートワークを担当してくれたのは、フォトグラファーのアティバ・ジェファーソン。もともとジャズに対する文化や歴史の造詣が深い人なのですが、今回のアルバムは『エヴァーグリーン』と伝えたら、何も説明しなくても彼がそれを理解してくれて、このアートワークが完成しました。

Q.今回のタイトルにもあるグリーンや、ジャズでいうとブルーなど、ジャズはそういった蒼々しい表現が使われることが多いですが、自身の音楽を色で表現するとしたら何色だと思いますか?

いい質問だね。今回のアルバムに関して言うならば、やっぱりグリーンですかね。緑色を連想すると、自然でオーガニックなものが真っ先に頭をよぎりますが、ネオンの色や、信号の色など、エレクトリックなものもイメージされると思います。まさに、今回のアルバムは、すごく普遍的な音でありながらも、エレクトリックな要素も含まれているので、この色がぴったりかなと。

Q.あなたはBLUE GIANTの最新章『BLUE GIANT MOMENTUM』より、作中で沢辺雪祈が作曲した楽曲「MOMENTUM」の演奏を担当されましたが、演奏した楽曲「MOMENTUM」についてどのような印象を受けましたか?

本当に素晴らしい曲でした。私も音楽を学ぶ学生でしたし、コラボレーターが怪我をして演奏ができなくなってしまった姿を近くで見ていたことがあります。ジャズを軸に様々な経験を経てきたので、キャラクターと共感できる部分がありました。漫画やアニメの音を奏でるという、なかなかない機会でしたので、自分の役割を果たせたことが嬉しいですし、関われたことを光栄に思います。

Q.最後に、今回の来日公演に関しても教えてください。

日本には、これまで他のミュージシャンのバックでショーに出演したことはあるのですが、単独で来るのは初めて。日本に来るまでの二ヶ月間、このバンドでアメリカやヨーロッパツアーをしているので、セットアップやサウンドなど、さらに磨きがかかっていると思います。今、バンドの息もかなりぴったりになってきたと思うので、楽しみにしていてください。

INFO

JULIUS RODRIGUEZ
ジュリアス・ロドリゲス
https://reserve.cottonclubjapan.co.jp/reserve/plan#5290
2024 12.2 mon., 12.3 tue., 12.4 wed.
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm
[2nd.show] open 7:45pm / start 8:30pm

MEMBER
Julius Rodriguez (p,key)
Emilio Modeste (sax)
Brandon Rose (b)
Myles Martin (ds)











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