CULTURE
2013.08.29
『オン・ザ・ロード』
刺激に満ちた青春ロードムービー |
監督 |
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何でも話せる人、趣味の合う人、学校や会社の人、人生のなかで人は多くの人と出会って別れて、また出会って……を繰り返す。そのなかで、かけがえのない人、たとえ二度と会わないとしても記憶にしっかりと焼き付いて離れない人もいる。そんなふうに強烈に惹かれる人と出会い、感情のおもむくままにその人と旅に出ることができたらどんなに素晴らしいだろう。『オン・ザ・ロード』は語り手である若き作家のサル(サム・ライリー)が、ディーン(ギャレット・ヘドランド)という青年と出会い、全米各地とメキシコを放浪した数年間を描いた青春ロードムービー。 ジャック・ケルアックの不朽の青春小説の映画化ということで注目を集めている作品だけれど、人気小説の映画化なんてよくあること。しかし! この映画化が特別なのは、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ニール・ヤング、デニス・ホッパー、ジョニー・デップなどの名だたる音楽人や映画人に影響を与えた文学だということ。ケルアック自身が「路上/オン・ザ・ロード」を書き上げるまでの旅が映し出され、破滅的だけれど自由で、自由だけれど苦しくて……生きているからこそ感じるさまざまな感情が詰まっている。大なり小なり確実に刺激を与えてくれる1本。
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text rie shintani