CULTURE
2013.12.20
『キューティー&ボクサー』
芸術も愛も人生も、貫くってこういうこと! |
監督 |
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これは、ボクシング・ペインティングで知られる現代芸術家・篠原有司男(しのはらうしお)、通称ギュウチャンと妻・乃り子、ニューヨーク在住40年のアーティスト夫婦の愛と闘いの記録。 芸術家のドキュメンタリーというと、創作までの苦悩とか成功までの苦悩とか、ゼロから生み出す苦悩を想像する。この『キューティー&ボクサー』にもそれはつづられているのだけれど、メインとなるのは彼らのとてもパーソナルな部分。芸術を求めて自由に生きる男と、そんな彼を愛して一緒に生きることを決めた女の物語で、女性としては、芸術家の夫を支えたい、でも自分自身もアーティストであり彼のアシスタントで終わりたくない──女性ならではの葛藤に共感する人は多いはず。 自由に生きているって格好いいけれど、その背景には自由を得るための過酷さもあって、惚れた相手と生きるって羨ましいと思うけれど、その背景にも愛を貫くための葛藤や覚悟がある。ものすごく人間っぽい感情を突きつけてくるドキュメンタリー。。もちろん、ギュウチャンの作り出すアートの数々、乃り子が自分たちの波瀾万丈な結婚生活をモデルに描く“キューティー”シリーズも興味深い! ニューヨークに行って現物を見たくなる!
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text rie shintani