CULTURE
2014.03.19
Metronomyが表現する、「新しい」ヴィンテージ
ヴィンテージの質感ってやっぱりいい。洋服でもアクセサリーでも、そしてもちろん音楽でも。60年代や70年代のレコードから流れてくる暖かみのある音は、どこかホッとするような心地よさがある。イギリス出身フランス在住の4人組、Metronomy(メトロノミー)もその魅力をよくわかっている。だから彼らは4作目となる最新アルバム『Love Letters』を、貴重なヴィンテージ機材を取り揃えているロンドンの有名スタジオで作り上げた。ここでMVを紹介する“Love Letters”は、もちろん新作に収録されている一曲。60年代の空気感をたっぷりと吸い込んだサウンドを、Michel Gondry(ミッシェル・ゴンドリー)監督のスタイリッシュな映像と一緒に楽しんで。 レトロなよさがあるけど、ただ懐かしいだけじゃない。この曲を聴いて、そんな風に感じた人も多いはず。実は、もともとMetronomyはベッドルーム発の宅録プロジェクトで、チープな打ち込みの電子音楽をやっていた。アルバムを重ねるごとに方向性は変わっていったけど、今回はレトロなレコーディング技術を採用しつつ、そこに現代的な打ち込み音楽の手法を重ね合せている。なぜそんなことをするかって? 懐かしくも新しい、新鮮な何かがそこから生まれると考えたからだと思う。言ってみれば、『Love Letters』が表現しているのは、「新しい」ヴィンテージ・サウンド。どのアルバムもユニークなアイデアに溢れているMetoronomyだけど、最新作も最高に面白い。 The 5th Dimension / Aquarious / Let The Sunshine In “Love Letters”の元ネタは、アメリカのR&Bヴォーカル・グループが69年に放った大ヒット曲。後半のソウルフルな展開に注目! The Zombies / She's Not There アルバム全編で聴ける印象的なキーボードは、ゾンビーズという60年代のバンドに影響されたもの、だと思う。この曲の間奏をよく聴いてみて。 Sly & the Family Stone / Thank You 60年代後半から70年代にかけて活躍した伝説的ファンク・バンドからも新作は影響を受けている。このスカスカでファンキーなサウンドを見習ったんじゃないかな。 |
Metronomy-『Love Letters』 3月26日 日本リリース ¥2,457(本体)+税 tracklist 01. The Upsetter 02. I'm Aquarius 03. Monstrous 04. Love Letters 05. Month of Sundays 06. Boy Racers 07. Call Me 08. The Most Immaculate Haircut 09. Reservoir 10. Never Wanted |
text yoshiharu kobayashi / the sign magazine