CULTURE
2014.03.25
シャムキャッツの新作は、出会いと別れの季節のサウンドトラック
少しずつ暖かい日が増えてきて、ようやく長い冬が終わろうとしている。新しい季節の始まり。厚手のコートを脱ぎ捨て、軽やかなファッションで出かけたくなる。卒業とか、就職とか、転勤とか、入学とか――たくさんの出会いと別れが訪れるこの時期は、ちょっぴり切ない気持ちになるけれど、それ以上に新しい何かの予感に胸が高鳴る。日本のインディ・シーンから飛び出したシャムキャッツの最高傑作『AFTER HOURS』は、そんな今の季節にぴったりだ。 甘酸っぱくてメロウだけど、軽やかに跳ねるようなサウンドは、心地よい春の風を運んでくる。そして、いつも以上にストーリーを語ることを意識したという歌詞は、まるで切ない思い出の記憶と新しい始まりの予感が詰まった短編集。ギュッと胸を締め付けられるけどワクワクする。だから『AFTER HOURS』は、まさに今の季節のサウンドトラックと言えるかも。気になったら、まずはリード・シングルの“MODELS”をチェックしてみて。軽快にスキップするようなこの曲を聴けば、ドアを開けて心地よい春の日差しの中へと出掛けたくなる。 Aztec Camera / Walk Out To Winter 新作のサウンドに影響を与えたのは、80年代の「ネオアコ」。特にAztec Cameraの存在は大きかったようだけど、奇しくも彼らのデビュー作も新たな季節への旅立ちを表明する作品だった。 Orange Juice / Falling and Laughing ネオアコ関連でもう一組挙げるなら、同時期に活躍した英グラスゴーのOrange Juice。軽快に掻き鳴らされるギターとファンキーなリズムの組み合わせは、『AFTER HOURS』のお手本かもしれない。 Nas / Nas Is Like ちょっと意外かもしれないけど、『AFTER HOURS』にとってはヒップホップも重要な影響源。力強いドラム・ビートはヒップホップを意識したらしい。 |
シャムキャッツ -『AFTER HOURS』 発売中 ¥2,400(税抜) tracklist 01. FENCE 02. MODELS 03. FOO 04. TSUBAME NOTE 05. AFTER HOURS 06. SUNDAY 07. LAY DOWN 08. PEARL MAN 09. SWEET DREAMS 10. MALUS |
text yoshiharu kobayashi / the sign magazine