CULTURE
2014.05.30
上品さと深い業が交錯する、Owen Pallettの美しきオーケストラル・ポップ
Owen Pallettは、現在のポップ・ミュージックを語る上では欠かせない、売れっ子のストリングス・アレンジャー。今年のフジロックでヘッドライナーを務めるArcade Fireとの仕事で名を上げ、最近ではTaylor SwiftやLinkin Parkの全米No.1アルバムに参加、そしてSpike Jonze監督の「her/世界でひとつの彼女」のサントラではアカデミー賞にノミネートもされている。 でも彼は、単なる「裏方」というわけじゃない。ソロ・アーティストとしても非凡な才能を発揮していて、世界的に高い評価を獲得している。『In Conflict』は、そんな彼のソロ4作目だ。 これまでと同じく、本作も室内楽的な弦楽器と電子音を融合させた、どこまでも上品で美しいオーケストラル・ポップ。か細くて甲高い彼自身の歌声も、その音楽性に上手くマッチしている。ただ歌詞の世界を覗いてみると、そこには同性愛者であることを公言しているOwenの、孤独と絶望に塗れた業深い姿も見えてくるだろう。美しく洗練されていながらも、音の隙間からドロッとしたものが零れ落ちているような――そのコントラストこそが、彼の作品の大きな魅力。ぜひ歌詞にも目を通しながら、その作品に触れてほしい。 Arcade Fire / Reflektor 古くからの盟友であるArcade Fire。彼らの最新作でも、Owenはもちろん全編でストリングス・アレンジメントを担当している。 Todd Terje / Inspector Norse 『In Conflict』では、アナログ・シンセの名機ARP2600をほぼ全曲で使用。そのインスピレーションとなったのは、意外にも、同じシンセを使って作られた、この大クラブ・ヒット。 Brian Eno / Needle In The Camel's Eye 環境音楽の発案者にして電子音楽の大家であるBrian Enoは、なんと「コーラス」でOwenの新作に参加。Enoの声が好きだというOwenだが、確かに彼の甲高い歌声はOwenのヴォーカルと見事に調和する。 |
Owen Pallett -『In Conflict』 ¥2,371円(税抜) 2014/5/21 発売 tracklist 01. I Am Not Afraid 02. In Conflict 03. On A Path 04. Song For Five & Six 05. The Secret Seven 06. Chorale 07. The Passions 08. The Sky Behind The Flag 09. ---> (1) 10. The Riverbed 11. Infernal Fantasy 12. Soldiers Rock 13. ---> (2) ※日本盤ボーナストラック収録予定 |
text yoshiharu kobayashi / the sign magazine