CULTURE
この才能を見逃さないでほしい!セリーヌ・シアマ監督の新作『秘密の森の、その向こう』
『秘密の森の、その向こう』
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この監督の新作は「絶対に観たい!」と思わせてくれる監督がいます。フランスのセリーヌ・シアマ監督はそのひとり。彼女の名前が広く知られるきっかけとなったのは、2020年に公開された『燃ゆる女の肖像』。カンヌ国際映画祭の脚本賞とクィア・パルム賞をはじめ、各国の映画賞を59も受賞していることからも、世界が注目している才能であることは明らか。本当に『燃ゆる女の肖像』は素晴らしいのです。映像美、女性の深淵、忘れられない愛の物語に、どれほど胸が震えたことか。
そんなセリーヌ・シアマ監督が新作を撮ったとなれば、観たくなるのは当たり前。新作の『秘密の森の、その向こう』は、母・娘・祖母、三世代をつなぐ〈喪失〉と〈癒し〉の物語です。
主人公は8歳の少女たち。大好きな祖母が亡くなり、ネリーは、両親と一緒に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れます。そして森の中で、自分と同じ歳の少女マリオンと出会うのですが、年齢だけでなく、ネリーの母の名前もマリオンという共通点がありました。しかもその少女マリオンが、遊びにおいでとネリーを連れていったのは、見覚えのある家、それはネリーの祖母の家でした──。
一体、どういうことなのか。ネリーが出会った少女マリオンは、8歳のママ(ネリーの母親)で、ネリーは時空を超えて8歳のママと出会ったのです。この映画の凄いところは、森を通り抜けるという描写だけで時空を超えさせていること。セリーヌ・シアマ監督がこだわったのは、ある少女が時空を超えて、子供の頃の母親と出会い、友情を育むというシンプルなアイデア。監督はこう語っています。
「子供も大人も自分の両親について考えるきっかけになるはずよ。異なる世代の間に新しい流れをもたらし、あらゆる世代に共通の感動を与えることによって、人々と結びつける作品になるように作ったわ」
今回ももちろん映像は美しく、三世代の女性たちをつなぐ物語に、今度はそうくるのかと、ふたたびセリーヌ・シアマ監督の才能を目の当たりにするのです。ネリーとマリオン、2人の少女たちを通して味わう〈喪失〉と〈癒し〉。73分の冒険のあと、大切な人の存在がもっともっと愛おしくなっているはずです。
映像美度 |
★★★★★
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癒し度 |
★★★★★
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愛の物語度 |
★★★★★
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監督・脚本
セリーヌ・シアマ
撮影
クレア・マトン
出演
ジョセフィーヌ・サンス
ガブリエル・サンス
ニナ・ミュリス
マルゴ・アバスカル
配給
ギャガ
9月23日(金・祝))全国ロードショー
ⓒ2021 Lilies Films / France 3 Cinéma
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