CULTURE
永野芽郁の新しい魅力を目撃する『マイ・ブロークン・マリコ』
『マイ・ブロークン・マリコ』
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人生のなかで、人はいくつも別れを経験しますが、なかには突然やって来る別れもあります。永遠の別れもあります。この映画『マイ・ブロークン・マリコ』の主人公シイノと彼女の親友マリコの別れも突然でした。
親友を「ダチ」と呼び、ガラは悪いけれど根は優しいシイノ(永野芽郁)。父親からは虐待を、彼氏からは暴力を受けて生きてきたマリコ(奈緒)。ある日、ブラック企業に勤め鬱屈した日々を送るシイノは、テレビのニュースで親友のマリコが亡くなったことを知ります。そして、マリコのために自分は何ができるのか。シイノはマリコの父親から遺骨を奪い、遺骨と旅に出ることに……。
マリコが亡くなった、という訃報をシイノが知るところから物語は始まりますが、マリコはなぜ死んだのか、という理由を探す物語ではなく、シイノとマリコはどんな間柄だったのか、どんな日々を過ごしてきたのか、思い出をたどりながら、マリコの死をシイノはどう受け止めるのかが描かれる。マリコの遺骨と一緒に旅をしながら、シイノがマリコの死とどう折り合いをつけるかが描かれます。
シイノが働く環境も、マリコが生きてきた環境も、逃げ出したくなるような過酷な環境。そんな彼女たちの悲劇をこの映画は、淡々と映し出しているように見えました(とは言っても苦しいし、切ないのですが……)。でも、そうすることで、シイノとマリコの二人が抱えているもの、二人の間にあるもの、感情が色濃く見えてくるのです。
タナダユキ監督(・脚本)も、原作を読んだときに「シイノが感じた衝動や悲しみ、やるせなさがダイレクトに伝わってきて、ページをめくる手が止まらなくなった」と語っています。
また、永野芽郁さんと奈緒さんのお芝居がいいのです。永野さんは、ガサツななかに深い優しさが滲み出るキャラクターを、奈緒さんは、面倒くさいと感じながらも守りたくなるキャラクターを演じています。実生活でも親友であることも少なからず影響しているのでしょうけれど、どちらの演技にも引き込まれました。
人は、大切な人との別れにどう向きあえばいいのか──。その答えをシイノとマリコが教えてくれる、彼女たちと旅をしながら気づかせてくれる。とても温かい涙が流れる映画です。
役者の演技度 |
★★★★☆
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二人の友情度 |
★★★★★
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温かい気持ち度 |
★★★★☆
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監督
タナダユキ
脚本
向井康介 タナダユキ
出演
永野芽郁
奈緒
窪田正孝
尾美としのり
吉田羊
配給
ハピネットファントム・スタジオ/KADOKAWA
9月30日(金)全国ロードショー
ⓒ2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
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