CULTURE
“香り”が、封印していた記憶の扉を開ける!『ファイブ・デビルズ』
『ファイブ・デビルズ』
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私たちは、日々、記憶を積み重ねて生きています。そのなかには、普段は思い出さないけれど、何か鍵となるものに触れることによって、ふとした瞬間に思い出す記憶もある。たとえば、よく知っている人と似たシルエットを目にしたとき、懐かしい曲を聴いたとき、思い出の味と似ている料理を食べたとき……。人間の五感(視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚)の何かがスイッチとなりますが、五感のなかで、より感情や本能、記憶に働きかける力が強いと言われているのが嗅覚です。
今回ピックアップしたタイムリープ・スリラー『ファイブ・デビルズ』は、“香り”をきっかけに記憶をよみがえらせることで、登場人物たちの過去を紐解いていく、ちょっとユニークなフランス映画。
物語の舞台となるのは、フレンチアルプスの麓にある⼩さな村〈ファイブ・デビルズ〉。その村で、両親と暮らす8 歳の少⼥ヴィッキーは、ずば抜けた嗅覚を持ち、興味を持った香りを瓶に入れて収集しています。そんなある日、長い間⾳信不通だった叔⺟が突然訪ねてきたことを機にヴィッキーの能力が増幅し、“ある香り”を嗅ぐたびに、母と叔母の記憶のなかに入り込んでしまうという、奇妙な現象が起きるのです。やがてヴィッキーは、母が封印していた秘密を知ることになり……。
とにかく、香りと記憶を繫げて現在と過去を行き来する、その設定が面白く、その面白さの向こうには、愛を求める人たちの葛藤と情熱が何とも深く描かれています。観客は、繰り返しタイムリープするヴィッキーの目線で物語を追っていくことになりますが、「えっ、そういう展開?」「そことそこが繋がっているの?」と、中盤から後半にかけては驚きの連続だと思います。
ちなみに、この映画の監督レア・ミシウスは、『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督、『TITANE チタン』のジュリア・デュクルノー監督に続く新しい才能として、フランスで注目を浴びている新鋭です。監督自身が、幼い頃から“⾹り”を嗅ぎ分け再現する訓練をしていたそうで、「素朴な興味から、純粋で感覚的な何かを探していた」という、その感覚がみごとに映像化され、観客は決してその香りを嗅ぐことはできないのに、映画の世界にぐいぐいと引き込まれていく──。
描かれるのは愛、いろんな角度からの愛ですが、見たことのないストーリーで語られる愛は、とにかく衝撃的で感動的なのです。
スリラー度 |
★★★☆☆
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タイムリープ度 |
★★★★☆
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映像美度 |
★★★★★
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監督
レア・ミシウス
脚本
レア・ミシウス
ポール・ギローム
出演
アデル・エグザルコプロス
サリー・ドラメ
スワラ・エマティ
ムスタファ・ムベング
ダフネ・パタキア
パトリック・ブシテー
配給 ロングライド
11月18日(金)全国ロードショー
ⓒ2021 F Comme Film - Trois Brigands Productions - Le Pacte - Wild Bunch International - Auvergne-Rhône- Alpes Cinéma - Division
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