CULTURE
北村匠海&中川大志が共演、自分自身の“いま”を考える『スクロール』
『スクロール』
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「もうやってられない……」と現状を投げだしたくなるような瞬間が、誰にだって一度や二度あると思います。それは、仕事だったり、家族のことだったり、学校のことだったり、年齢や生きる環境によって投げだしたくなる対象は異なるだろうけれど、うまくいかないなぁと思うことは、誰にでもあります。
北村匠海と中川大志が共演の映画『スクロール』にも、目の前の人生に希望を持てずにいる若者たちが登場します。就職したけれど上司から否定される日々を送る〈僕〉(北村匠海)、毎日が楽しければそれでいいと刹那的に生きるユウスケ(中川大志)。
別々に歩んでいた〈僕〉とユウスケを久々に結びつけたのは、彼らと大学時代の友だちだった森が自殺した──という報せでした。そして、〈僕〉がSNSに書き込む言葉に共鳴して新しい人生を歩み出した〈私〉(吉川琴音)、結婚したいけれど思うようにいかない菜穂(松岡茉優)も巻き込んで、自分たちの人生を真剣に考える、そんな物語が展開します。
ひとつの死をきっかけに物語が進んでいくなかで、この映画らしさだなぁと思うのは、身近な人をなくしたことで、気づかされることがあるということです。「もうやってられない……」と思っていた気持ちが変化する。何ができるだろう、自分は何をしたいのだろう、どう生きたいのだろう、自分を見つめ直すきっかけになることもあるのです。
もちろん、生き方を見つめ直すことをテーマにした映画はたくさんあります。けれど、この映画はタイトルに“スクロール”とあるように、記憶と現実と思考の描き方に工夫があって、それらがまるでパズルのように組み合わさっている。時間を遡ることで振り返ったり、時間を進めることで未来を想像したり、そこには生きていくための“気づき”がある。
簡単に言えば、メッセージがいくつも散りばめられているということです。決してこれが答えですと明確に提示するのではなく、観た人のなかで、それぞれが答えにたどり着くようになっている。それもいい。この映画を必要としている人、とても多いと思うのです。
どん底共感度 |
★★★★☆
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前に一歩度 |
★★★★★
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キャスティング度 |
★★★★☆
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監督・脚本・編集
清水康彦
脚本
金沢知樹
木乃江祐希
出演
北村匠海
中川大志
松岡茉優
古川琴音
配給 ショウゲート
2月3日 (金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
ⓒ橋爪駿輝/講談社
ⓒ2023映画『スクロール』製作委員会
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