CULTURE
King Gnu・井口理が恋と自意識にもだえる『ひとりぼっちじゃない』
『ひとりぼっちじゃない』
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映画を観ながら、私たちは、その登場人物に共感したり、反発したり、分析したり……スクリーンのなかで描かれていることと自分自身に何か共通点はないだろうかと、無意識に探してしまう。特に、恋愛を描いた映画の場合は、何か答えを見いだしたくて、自分と重なる部分を探してしまうものです。
『世界の中心で、愛をさけぶ』にはじまり、脚本家として数々の名作を世に送り出してきた伊藤ちひろさん。彼女の初監督作品『ひとりぼっちじゃない』(原作・脚本・監督)も、きっとそういう映画なのではないか……と想像していましたが、共感を見いだすという単純なものではなく、主人公を通して、自意識(=自分がどう受け取られているのかを気にすること)も突き付けてくる、強烈に突き付けてくる映画でした。
人とコミュニケーションが取れない歯科医のススメ(井口理)、彼が想いを寄せているアロマ店を営む宮子(馬場ふみか)、彼女の友だちである蓉子(河合優実)。この3人を中心に、基本はススメの自意識を追いかけていきます。どんな物語なのかは記さないでおきます。情報を入れずに観たほうがいい映画があり、この映画はまさにそういう映画だと思うので。
人は、誰かを好きになると、相手が考えていることを理解したいと思うものですし、自分がどう映っているのか、自分の言動がどう受け取られているのか、恋が始まったばかりの頃は、自意識との戦いの連続です。そして、ススメを通して、見えないもの(感情)が見えてくる。
似ているから惹かれるのか、違うから惹かれるのか。宮子は何者なのか、ススメをどう思っているのか。あの描写が意味するものは何なのか……いろいろ答え合わせをしたくなりますが、こういうことなの“かも”しれないという曖昧さを持つことも、この映画の世界に入っていく鍵になります。
ススメの内なる感情はリアルで、緑に囲まれた宮子の部屋と彼女自身はどこかファンタジックで、ちょっとホラー的な要素もある。好きになること、愛すること、それらがもたらすさまざまな感情をしのばせた、吸い込まれるような映画です。
ススメの葛藤度 |
★★★★☆
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宮子の謎めき度 |
★★★★★
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ホラー的恋愛度 |
★★★☆☆
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監督・脚本
伊藤ちひろ
出演
井口理(King Gnu)
馬場ふみか
河合優実
配給 パルコ
3月10日 (金) 全国ロードショー
ⓒ2023「ひとりぼっちじゃない」製作委員会
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