CULTURE
いま必要な映画だと思う『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』
『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』
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どんな人に憧れますか、どんな人をお手本にしたいですか。誰にでも「こんな人になりたい」というような、目標というと少し大袈裟かもしれないですが、悩んだり立ち止まったりしたときに、自分を支えてくれる存在、指針となる存在がいるのではないでしょうか。たとえいなかったとしても、そういう存在を求めている人、多いと思います。
今回ピックアップした映画『シモーヌ フランスに最も愛された政治家』の主人公シモーヌ・ヴェイユは、“そういう存在”として、フランスの著名人・有名人の人気ランキングで上位に入る政治家です。政治の話はあまり……という人もいるかもしれないですが、彼女の信念を貫く強さ、誇り高き生き方は、今この時代を生きる人に必要だと感じるのです。
そもそもシモーヌ・ヴェイユはどんな人なのか、どんな人生を歩んできたのか。幼少期から晩年までのシモーヌの人生が描かれます。特徴的なのは、年代を追って描いていないことです。映画のなかでシモーヌは、自伝を書くために自分の記憶を探り、想い出を行ったり来たりしながら、過去が紐解かれていきます。
その想い出のなかには、シモーヌ・ヴェイユを語るうえで重要な出来事がいくつも登場します。中絶の合法化法案を国会に提議して法案を成立させたこと、ホロコーストの生き証人としてユダヤ人大虐殺の記憶の伝承をライフワークにしたこと、3人の子どもの母となっても諦めずに政治の世界に進んだことなど。
彼女の壮絶な人生──なかでもアウシュビッツ強制収容所での出来事は目をつむりたくなるほどショッキングですが、歴史を知るきっかけにもなります。そして、女性が活躍することが難しい時代に、政治家として次々と道を切り拓いた、その行動力に圧倒され、彼女が発する言葉に感動する。
この映画は決してエンタメではないです。胸が苦しくなる描写もあります。けれど、140分に凝縮されたシモーヌ・ヴェイユの人生を追体験することで、誇り高く生きること、信念を持って生きるとはこういうことなのだと、声を上げることで世界は変わるのだと、はっとさせられる。とても力強い映画なのです。
壮絶度 |
★★★★★
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開拓度 |
★★★★★
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敬愛度 |
★★★★★
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監督・脚本
オリヴィエ・ダアン
出演
エルザ・ジルベルスタイン
レベッカ・マルデール
オリヴィエ・グルメ
エロディ・ブシェーズ
配給
アット エンタテインメント
7月28日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー!
Ⓒ 2020 – MARVELOUS PRODUCTIONS - FRANCE 2 CINÉMA - FRANCE 3 CINÉMA
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