CULTURE
これが⼈類の進化!?『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
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デヴィッド・クローネンバーグ監督作品に触れたことのある人なら、彼の作品が常に挑戦的であることは分かると思います。
新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、そのなかでもなかなかの強烈作品。第75 回カンヌ国際映画祭コンペティション部⾨に出品されましたが、退出者が続出しています。たしかに、その評判どおり、賛否が入り乱れる作品であることは間違いないですし、果たしてこの作品を面白いと言っていいのだろうか、受け入れてしまっていいのだろうか、そんな疑問も持つでしょう。それくらいショッキングです。
クローネンバーグ監督のメッセージのなかに、こんなひと言があります。
「⼈類の歴史における重要な分岐点にある今、私たちが作り出した問題を、⼈体を進化させることで解決することができないだろうか? 気候危機の解決策としてだけでなく、我々が成⻑し、繁栄し、⽣き残るために、⼈の消化器官を進化させ、プラスチックや⼈⼯素材を消化できる⾝体にすることはできないだろうか?」
この映画では、⼈類の進化についての黙想が描かれます。舞台はそう遠くない未来。人々は痛みや感染症から解放され、人工的な環境に適応しながら進化を続けてきました。新しい臓器が体内で生まれて、それを前衛的なパフォーマンスとして披露したり、なかにはプラスティックのようなモノを食べても平気な身体を持つものも現れます。
あり得ない……と思いながらも、⼈類の進化として描かれる異様な世界に引き込まれていく。とはいっても、解剖シーンはグロテスクですし、見たこともないような臓器が思いっきり出てくるので、その手の映像が苦手な人にはおすすめできません。
ただ、見方によっては、ハイテク機器と廃墟感が混在している世界観はある意味アートです。ヴィゴ・モーテンセンとレア・セドゥの演じるキャラクターがアーティストであることで、その不気味な設備のグロテスクさが見たことのないアートに見えてくる。何とも不思議な感覚を味わうのです。
賛否が入り乱れる作品であるということは、自分以外の人の「面白い」「面白くない」は判断基準になりにくく、観る観ないの判断は、自身の好奇心のアンテナに響くかどうかになります。ひとつ言えるのは、忘れられない映画になることは確実だということです。
アート度 |
★★★★☆
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グロテスク度 |
★★★★☆
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ショッキング度 |
★★★★★
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監督・脚本
デヴィッド・クローネンバーグ
出演
ヴィゴ・モーテンセン
レア・セドゥ
クリステン・スチュワート
配給
クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
8月18日(金)より新宿バルト 9 ほか全国公開
Ⓒ 2022 SPF (CRIMES) PRODUCTIONS INC. AND ARGONAUTS CRIMES PRODUCTIONS S.A.
Ⓒ Serendipity Point Films 2021
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