CULTURE
感情を映し出す者、須藤蓮という世界観『ABYSS アビス』
『ABYSS アビス』
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気づいたらその世界にどっぷりと入り込んでいた──。映画『ABYSS アビス』は、そんなふうに観る者を引き込む力があります。
タイトルの“ABYSS”には「底知れぬもの・奥底・深み」といった意味がありますが、この映画では「漆黒の海・都会に潜む闇・心の奥深くにある感情」といったものが描かれていて、複雑に絡み合っていて、観る者の感情にまとわりついてくる。そして離れない。何とも言えない余韻が残ります。
その世界観を創り出しているのは、俳優でもある須藤蓮。監督デビュー作『逆光』に続いて、今回も監督・主演・脚本(渡辺あやと共同脚本)を兼ね、26歳の須藤蓮に映っている現代の渋谷、彼の実体験をベースにした若者の生きざまをスクリーンに映し出します。
兄の死、元恋人の死、同じ人の死を共有するケイ(須藤蓮)とルミ(佐々木ありさ)。彼らの逃避行のようなラブストーリーであり、渋谷が舞台で映像は美しく刺激的、音楽も格好よくて、なんだかとってもお洒落な青春映画だな。入口はきっとそういうイメージだと思います。
けれど、描かれているのは、簡単には理解できない感情。好きだけでは貫けない、自由になりたくても枷を外せない、悲しいのにその悲しみを受け入れられない……複雑な人間の感情が、わんさかと染み込んでいるのです。簡単には理解できないからこそ、知りたいと思う、引き込まれる。
「殴られても逃げられないみたいなことってありません?(笑)」
これは須藤さんの公式インタビューのなかに見つけた一文です。なぜケイはあの世界に留まっているのか、逃げないのか、という問いに対するアンサーでもありますが、映画を観ると、彼の言わんとしていることが感情として伝わってくる。
自分以外の誰かにとっては到底理解できないことであっても、自分にとっては逃れられない理由がある。そんな人間の奥底に渦巻く感情を映画として表現している。それが須藤蓮らしさ。監督としてはこれが2本目、監督・須藤蓮に注目する絶好の機会です。
映像美度 |
★★★★☆
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音楽美度 |
★★★★☆
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恋愛美度 |
★★★★☆
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監督
須藤蓮
脚本
須藤蓮
渡辺あや
出演
須藤蓮
佐々木ありさ
夏子
松本亮
浦山佳樹
三村和敬
二ノ宮謙太
配給
FOL
9月15日(金)よりシネクイントほか全国公開!
Ⓒ2023『ABYSS アビス』製作委員会
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