CULTURE
戸惑いと笑いの沼、アリ・アスター監督最新作『ボーはおそれている』
『ボーはおそれている』
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この独創的な物語を、彼は一体どうやって生み出したのだろうか──。彼というのは、アリ・アスター監督のこと。アスター監督と言えば、長編初監督作『ヘレディタリー/継承』でも、続く『ミッドサマー』でも、トラウマになりかねないほどの衝撃と恐怖を描き映画界をざわつかせてきました。その監督の最新作とくれば、やっぱり観ておかないとねって思いますよね。
アリ・アスター監督の過去2作の特徴はホラーであることでした。新作『ボーはおそれている』も恐怖を描いていますが、コメディでもあります。もちろんアスター監督ですから、コメディという単語からはなかなか想像し難いような、思考をぐちゃぐちゃに掻き回すような意味深長な物語が展開します。
主人公は、ボーという男性。演じるのは『ジョーカー』のホアキン・フェニックス。この監督と主演のタッグもそそられます。ホアキンの演じるボーが母親に会うために里帰りする物語で、飛行機に乗って母に会いに行く、ボーに課せられたミッションは簡単ではあるのですが、それを阻むものが次から次へと目の前に現れるのです。阻むものは物理的かつ心理的な障壁です。
ボーは、とにかく心配性で、怖がりで、あることないこと恐れとして想像してしまうキャラクター。ゆえに、単なる里帰りの旅が壮大な大冒険のように映し出される。しかも、それは本当に現実なのか、それとも夢なのか、ボーの頭のなかの妄想なのか分からなくなるのです。アスタ−監督はこう説明しています。
「探求しているのは、ボーの人生ではなく彼の経験だ。観客には、彼の頭の中に入って、感情を肌で感じてもらいたい。できれば細胞レベルでね。主人公と同じ気持ちになって一緒に行動するけど、彼が歩む道をたどるというより、彼の記憶や幻想、恐怖を体験するんだ。これはボーの人生を体験する映画だよ」
確かにボーの人生を体験する映画ではありますが、戸惑います、大いに戸惑います、でも笑えます。奥深いテーマが潜んでいます、でも笑えます。ちょっと怖さもあります、でも笑えます。そして、気づけばアリ・アスター監督の創りだした世界観どっぷりはまり、忘れられない1本として記憶に刻まれるはずです。
観客の戸惑い度 |
★★★★☆
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コメディ度 |
★★★★☆
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ボーの恐れ度 |
★★★★★
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監督・脚本
アリ・アスター
出演
ホアキン・フェニックス
ネイサン・レイン
エイミー・ライアン
パーカー・ポージー
パティ・ルポーン
配給
ハピネットファントム・スタジオ
2月16日(金)全国公開
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