CULTURE
ソフィア・コッポラ監督が描く少女の変身『プリシラ』
『プリシラ』
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まだ何者でもない14歳の少女が、ある日、スーパースターと出会って、恋に落ちたら……。フィクションの世界では、そういう出会いも設定できますが、現実に、自身に、そんな瞬間が訪れたら?と考えると、どれだけ凄い出会いか想像できると思います。
けれど、14歳のプリシラには起きたのです。
この映画は、世界的スターとしてその名前を刻んでいるエルヴィス・プレスリーと恋に落ちた女性、プリシラのお話。ひとりの少女が、恋を通じて大人になっていく、いわゆるシンデレラストーリーではありますが、監督のソフィア・コッポラがこの物語を描いてみたいと思った理由は「変身に関心があったから」だと言います。
「私は、人々がいかにして自分の歩む道を見つけ、アイデンティティを築くかということにいつも関心があります。特に、自分のものではない世界にいて、そこからどうやって脱出するかに──」
そんなソフィア・コッポラの言葉にも繋がりますが、この映画、大スターに見初められた少女の輝く姿が映し出されるキラキラした物語だと思ったら、ぜんぜん違うのです。『マリー・アントワネット』にも言えることですが、華やかさのなかに、その華やかさを優に超えてくる苦悩がある。
今回でいうその苦悩とは、自分は彼に選ばれたという優越感や幸福感の裏側にあるもの。プレスリーをとりまく人たちへの嫉妬、はやく大人になりたいという焦り、彼の愛を独り占めできない苦しさ、どろどろと渦巻く感情です。
華やかな世界のなかに、人間の生々しい感情を浮き立たせる、それがソフィア・コッポラの得意とする表現。巨匠フランシス・フォード・コッポラを父に持っている彼女だからこそ、華やかな世界に身を置くとはどういうことなのか、そこで生まれる葛藤や苦悩を知っている。プリシラの感情が生々しく感じるのは、そういう理由もあるのかもしれません。
また、ソフィア・コッポラ作品ですから、衣装もヘアメイクも、美術も装飾も、彼女らしい世界観は健在です。もちろん、この映画のこだわりであり見どころのひとつになっています。
若い世代にとっては、そもそもエルヴィス・プレスリーの名前は知っていても、よく知らない……という人も多いでしょう。そこもポイントになっていて、大スターであることを描いているけれど、プレスリーとは?を追求せず、プレスリーすらこの映画のなかでは脇役に徹している。だからプリシラの視線で世界を見ることができる。プリシラに共感することで“変身”を体験できると思うのです。
スターと恋に落ちて波瀾万丈な人生度 |
★★★★☆
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ソフィア・コッポラ監督らしい世界観度 |
★★★★☆
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映画『エルヴィス』も観てほしい度 |
★★★☆☆
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監督・脚本
ソフィア・コッポラ
出演
ケイリー・スピーニー
ジェイコブ・エロルディ
配給
ギャガ
4/12(金)TOHOシネマズ シャンテ ほか全国ロードショー
ⒸThe Apartment S.r.l. All Rights Reserved 2023
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